rock

2001年 アルバムベスト10!
Part1

2001年は若手にあまり手を伸ばす機会がありませんでした。どちらかと言うと御大ばかり。っていつものことか。(^^;

 

No.1 Free
No.2 Ocean Colour Scene
No.3 REM
No.4 Paul Williams
No.5 Paul McCartney
No.6 以降はこちら
※順不同にて表示しています。

Free 『Fire & Water』

ISLAND UICY-9132
1.Fire & water
2.Oh, I wept
3.Remember
4.Heavy road
5.Mr.Big
6.Don't Say You Love Me
7.All Right Now
Bonus track
8.Oh I Wept(alt. vocal take)
9.Fire & Water (new stereo mix)
10.Fire & Water (BBC session)
11.All Right Now (BBC session)
12.All Right Now(single version)
13.All Right Now(first version)
Member
昨年の本コーナーでも紹介しました5枚組みボックスは、ゲップが出るほどのボリュームで感激ものでしたが、2001年も暮れに差し掛かった12月、オリジナル盤のリマスターバージョンが紙ジャケ仕様で登場しました。おまけにボーナストラック付で!第一弾としてファーストアルバム「Tons of sobs」セカンドアルバム「Free」サードアルバム「Fire & Water」の三作が登場です。
今回の紙ジャケ化ではファースト・セカンドでダブルジャケットにするなど、オリジナルに忠実な再現が行われているようです。音質面では、約15年目にして初めてのリマスターと言うこともあってか、気合の入ったリマスタリングが行われています。特徴的なのは、全体的なクリア感と低音を中心としたパワーアップ。本欄ではフリー最高傑作といえる三作目をご紹介します。
本作「Fire&Water」は、1970年に発表されました。もう、31年も前の作品と言うことになります。ファーストアルバム以来、独自のブルース感覚あふれる作品とともに演奏力を高めてきた彼らが、才能とアイディアを出し切った名作です。サウンドはきわめてシンプル。しかし、アルバム全体が独特のグルーブ感に満ちています。そして特筆すべきは、もはや借り物ではない、彼ら独自のブルースを作り出していること。本作発表当時、彼らはまだ二十歳そこそこでした。ベースのアンディ・フレイザーに至っては18歳です。いわば若造の彼らがなぜここまで渋い作品を作ることができたのか、今もって不思議です。
ただし、気難しさがあるわけではない。たとえば「5」。イントロからポール・ロジャースのボーカルまでは、良くここまで音をそぎ落としたものだと感心するくらいです。これがポールコゾフがアルペジオを決めるあたりから音に厚みが増していく。そして徐々に情感を高めるコゾフのソロ。ここに重なるアンディ・フレイザーのベースによるカッティング!サイモン・カークのドラムもヒートアップし、グループのパワーがピークに達するという見事な構成です。「2」は、呟くようなコゾフのギターが見事。弾きまくることに精進を続けた挙句に見出だした、一歩引くことの素晴らしさ。又、「3」でのタイトなリズム。セカンドアルバムでの「ソング・オブ・イエスタディ」で見せたようなカッティングの小気味よさがグルーブ感として昇華しているように思います。さらに、「4」や「6」でのポール・ロジャースのブルースフィーリング。弱冠ハタチそこそこなのです。そして、ラストに組み込まれた「7」は、最大2位となる大ヒットを記録し、本作を単なる名演集に終わらせない大きな役割を果たしています。又、全編で繰り広げられるコゾフのソロ。一音あたりの密度がこれほど濃いギタリストが他にあるでしょうか。今回のリマスターにより、それら、ドシンプルな一つ一つのサウンドがよりくっきりと、そしてパワーアップしています。

さて、ボーナストラックです。「8」は、「2」のボーカル違い。ややダルなボーカル。
「9」は、「1」のミックス違いで、初公開。コゾフのギターのオーバーダブがややオフ気味。
「10」「11」はBBCの収録のための演奏から。元々がシンプルな演奏だけに一発取りもお手の物と言った感じ。パワーはツェッペリンのBBCライブにも迫ります。是非これだけでCD化してほしいものです。
「12」はシングルバージョン。左側のカウント音やソロ以降が異なります。「13」は前年のボックスに収録されていたもの。

Ocean Colour Scene 『Mechanical Wonder』
ISLAND UICI-2002

1.Up On The Downside
2.In My Field
3.Sail On My Boat
4.Biggest Thing
5.We Made It More
6.Give Me A Letter
7.Mechanical Wonder
8.You Are Amazing
9.If I Gave You All My Heart
10.Can't Get Back To The Baseline
11.Something For Me
12.Anyway,anyhow,anywhere(Japan only)
Member
CD盤をプレイヤにセットし、「プレイ」ボタンを押す。するとまもなく流れてくる甘いギターサウンド。「あれ?ますますソウルに振ったかな、それにしてもなんとメロディー志向なことか」と驚いたのですが、ライナーを読んで納得しました。かのポール・ウェラーがスタイル・カウンシルをともに結成したミック・タルボットが本作に参加しているのだそうです。

というわけで本作はOcean Colour Sceneの5作目に当たる作品です。モッズサウンドの再現を追及しつつも、幅広い音楽性を身につけ、成長を遂げてきた彼らですが、本作も、曲が進むにつれ、これまでの流れに沿ったものとなり、むしろほっとしました。(^^; 前作同様、アコースティックな曲も交えつつ、よりメロディが練られていると言う印象です。
同じようなフレーズを繰り返す「2」はThe Whoの影響が色濃く漂います。
「3」「4」「5」と続くアコースティックナンバーも、メロディとそれに彩りをつけるバックのバランスがとてもいいので、聴いていても心地よさがあります。特に「5」で聴かせるメロトロンのようなサウンドとバイオリンの絡み見事です。「6」は、ミック・タルボットなのか、間奏の洗練されたピアノが印象的。
アルバムタイトル曲の「7」は、シンプルなメロディとリズムが特徴的な彼ららしいナンバー。マンドリンがいい雰囲気を作っています。「8」「9」は、スローナンバーながら、中盤曲(?)らしくアコギやバイオリンを多用して音に厚みを増しています。
「10」は、ちょっとバングルスの「エジプシャン」に似た感じの曲。アップテンポですが、後半にフルートのソロが入るところがブリティッシュ。アルバム上はラストになる「11」は、アコースティックながらさらりとまとめた小品。と言うわけで、全体を振り返ってみると、あっさりとした印象ながら良く聴けば細部に神経が行き届いているのが感じられます。欲を言えば、リズムが地味になったと言うかややか細くなったこと。以前の強靭なリズムの復活を、次回作では期待したいと思います。

これまでにも、ボーナストラックで「デイ・トリッパー」を聴かせるなど、60年代への愛着を見せていましたが、本作では、ボーナストラックにThe Who初期のシングルナンバーのカバーを収録。1965年に発表されたもので、このシングルの次に出されたのが、かの「My Generation」と言うことになります。フーのバージョンよりキーを落としているのが面白いです。


REM 『Reveal』
WARNER BROS WPCR-11010

1.The Lifting
2.I've Been High
3.Reno
4.She Just Wants
5.Disappear
6.Saturn Return
7.All I Want
8.Imitation Of Life
9.Summer Turns To High
10.Chorus & The Ring
11.I'll Take The Rain
12.Beachball
Member
なんと美しいサウンドなのか、なんと肯定的なサウンドなのか、これが第一印象です。
前作「UP」('98年)から3年、REMの第12作目オリジナルアルバムになる本作は、前作がややとっつきにくい作品だったこともあってか、より素晴らしく感じられる、傑作の名を冠するに値する作品となっています。
確かに前作は長年付き合ってきたドラマーのビル・ベイリーが脱退したため、リズム面をどう補うべきか、彼らなりに悩んだのかもしれません。そのためか、かえってヘビーなサウンドに仕上がっていました。曲のほうも前々作に続きヘビーで、世紀末のイメージがありました。
本作は、そうした前作の持つ様々なイメージとは対照的に仕上がっているのが印象的です。アルバムを通じてのサウンドのトータル感もあり、コンセプトも明確。きっとバンドもいい方向に向かいつつあるんだな、ということを強く感じるのです。
「1」は、イントロの穏やかさで、すでに「なごみ」の領域に達しています。しかし、ベースにあるのは力強さと、自信。21世紀の幕開けの明るさに結びつけるのは短絡的でしょうか。これまでの約20年間のバンドとしての経験を土台に、ついに肯定的な歌が仕上がった、という感慨を覚えます。その思いを裏切らないのが、「2」です。実験的なサウンドがバックに挟まりますが、そのサウンドさえ、心地よく感じられるから不思議です。そして「3」もその延長線上にあります。ギターもデュアン・エディのセミアコを聴くような快感があります。メロディも素晴らしい。しかし、何よりも素晴らしいのはマイケル・スタンプのボーカル。ここまで肯定的に歌うなんて。きわめてクリアなアコギで幕を開ける「4」は、徐々に楽器が絡み、ギターソロやストリングス(の様なサウンド)が加わり盛り上がるというオーソドックスな構成ながら、曲の持つ芯の太さのようなものが、聴くものに安心感を与えます。
「5」「6」はバラードで、マイケル・スタンプの静かな、祈りのようなボーカルが特徴。「7」は、タイトルが「ドラムをたたけ」という強いメッセージの割には打ち込みによる線の細いビートなのが面白い。また、「これが俺の必要なものすべて」というような歌詞のリフレインが美しい。
ポップな要素にあふれる「8」はシングルにもなったようです。「9」は「5」と同様のハチロクビート。「10」は、シンプルなメロディに乗せて歌われ、徐々に盛り上がりを見せる展開。タイトルどおり後半はコーラスが入るのか、と思いきや、そうはならない。コンサートでは聴衆のコーラスで盛り上げるのでしょうか。「11」は、「3」と同様のギターが印象的です。「アイル・テイク・ザ・レイン」というリフレインのなんと力強いことか。ラストの「12」は、リズムボックスに乗せて静かに歌われます。フォークにも相通ずるものがあるように思います。
以上、12曲に通じていえることは、メロディの美しさとボーカルの丁寧さ。そしてそれを支えるアレンジの美しさ。これらが、パティ・スミスやU2などの最新作にも相通じるものがある様に感じるのは偶然なのでしょうか。


Paul Williams 『Someday man』
Reprise WPCR-1958

1.Someday man
2.光ある世界へ
3.She's too good to me
4.Mornin' I'll be movin' on
5.Time
6.信頼
7.可愛いおまえ
8.真心はどこに
9.I know you
10.Roan Pony
ポール・ウィリアムスは、カーペンターズの「愛のプレリュード」「雨の日と月曜日は」、スリー・ドッグ・ナイトの「オールド・ファッションド・ラブ・ソング」などの作詞で知られるシンガー・ソング・ライターです。私はこの人の作品は、本作の後に発表された「オールド・ファッションド・ラブ・ソング」だけを持っていたのですが、特に深い印象は受けずにいたのです。ところが、この人の共作者として知られるロジャー・ニコルズ関連話題から、Monthryさんから1970年に発表され、1998年に初CD化された本作を聴く機会をいただき、聴いてみたところ、これが鳥肌の立つような名作だったのです。
この人の魅力はなんと言っても個性的、かつ哀愁漂うボーカルです。ちょっとジム・クロウチや、ホセ・フェリシアーノを彷彿とさせます。又、全曲を共作しているロジャー・ニコルズが、ポールの個性的なボーカルを生かす曲作りをしており、この作品を素晴らしいものにするのに一役買っています。モンキーズも歌ったらしい「1」に始まり、全曲が名曲です。それとアレンジ。演奏はピアノやトランペット、ストリングスを主体とした、米国ポップス本流で、(後の?)イージーリスニングに近いものもあります。しかし、そうした俗(失礼!>イージーリスニングファンの皆様)なサウンドと一線を画するのは「6」のような素晴らしいメロディに乗せるストリングスの丁寧さです。一つ一つの楽器が実に慎重にアレンジ、録音されていると言う印象を受けます。それにしてもこの曲は名曲。又「9」のアレンジも実にデリケート。演奏に乗せて歌うポールも実にデリケートと言うか、危うささえ感じさせるボーカルを聴かせます。「10」は、他の曲とやや異なるギターとリズムが特徴的。哀愁漂うボーカルがフェイドアウトし、30分にも満たないこの作品集は終わりを迎えるのです。


PAUL McCARTNEY WINGSPAN


東芝EMI
TOCP65746-47
CD-1
1.Listen to what the man said
2.Band on the run
3.Another day
4.007/Live & let die
5.Jet
6.My love
7.Silly love song
8.Pipes of piece
9.C.moon
10.Hi.Hi.Hi
11.Let 'em in
12.Good night tonight
13.Junior's farm
14.Mull of Kintyre
15.Uncle Albert/Admiral Halsey
16.With a little luck
17.Coming up
18.No more lonely nights
19.Eat at home

CD-2
1.Let me roll it
2.The lovely Linda
3.Daytime nightime suffering
4.Maybe I'm amazed
5.Helen wheels
6.Bluebird
7.Heart of the country
8.Every night
9.Take it away
10.Junk
11.Man we was lonely
12.Venus & Mars/ Rockshow
13.The back seat of my car
14.Rockestra Theme
15.Girlfrirend
16.Waterfalls
17.Tomorrow
18.Too many people
19.Call me back again
20.Tug of war
21.Bip bop/ Hey Diddle
22.No more lonely nights

ポールとしては2作目、ウイングスベストを含めると3作目のベスト盤が登場となりました。タイトルは「ウイングスパン」。「ウイングス」と「スパン(期間)」をかけています。そんなわけでウイングス時代を中心にポールが大活躍した70年代〜80年代の名曲がずらりと並んだ豪華なアルバムとなっています。

ジャケットの方もかつてのウイングスポーズであった手によるWマーク。3D仕様の凝ったもの。更にアメリカ盤は布の生地に覆われているという豪華なもの。それにしても、一昨年前の「イエロー・サブマリン」に始まり、「イマジン」「ダブル・ファンタジー」「1」「オール・シングス・マスト・パス」と続いて、ついにポールベストまで。ビートルズ関連の発表ラッシュが続いてファン冥利に尽きますね。

さて内容の方ですが、CD1はヒット曲オンパレード。その大半は2作目ベスト「オール・ザ・ベスト」と重複するものですが、今回はリマスターにより音質が向上しています。又、「13」「16」はショートバージョン。なお「3」「8」「15」「17」「18」「19」はソロ作品です。

CD2の方は打って変わって地味目な曲が続きます。ウイングス時代の、ポールお気に入り曲を集めているようです。興味深いのは「3」「21」の2曲で私は初耳でした。又、ファーストソロから5曲、ラムから3曲も選曲されています。ポールのキャリアから言えば、どちらかといえば陽の目を見ない時代だけにポールとしては思い入れもひとしおなのかも知れません。個人的には「22」ははずして別の曲を入れても良かったようにも思いますが。。

以上、2枚を通して聴いてみて思うことは、今ひとつコンセプトがハッキリしないというか、踏ん切りが悪いぞ、ということです。ポールの作品量は膨大です。未発表曲もまだまだたくさんあるはず。そもそもCD2枚でポールのキャリアを俯瞰するというのは土台無理。ポールとしては思い入れのある曲はまだまだ他にもたくさんあることでしょう。とはいってもポールのCDである以上ある程度の売上は必要。と言うわけで一枚にヒット曲を収納してしまったのでしょうか。で、もう一枚にポールのどちらかというとプライベートなフェイヴァリット曲が入ってしまった(「4」「6」「9」「12」「15」「「19」など好きな曲も多いんですが。。)関係で、「ファンが選ぶベスト」的色彩からはやや離れた曲構成になった気がします。それと時代も84年頃までだし、収録曲のバランスから見てもちょっと中途半端。やや欲求不満のたまる内容となってしまったように思うのです。

ここは一つ、名誉挽回をかけてジョンの4枚組ボックスやジョン・レノンアンソロジー(これも4枚組)のような思い切った企画を期待したいところです。それと各オリジナルアルバムのリマスター化。もう一つ納得のいかない音になっている「ビーナス&マース」「ロンドン・タウン」などを第一優先としていただきたいですが、一日も早いリリースを願うばかりです。



 PAUL McCARTNEY Driving Rain


東芝EMI
TOCP-65870
1.Lonely Road
2.From A Lover To A Friend
3.She's Given Up Talking
4.Driving Rain
5.I Do
6.Tiny Bubble
7.Magic
8.Your Way
9.Spinning On An Axis
10.About You
11.Heather
12.Back In The Sunshine Again
13.Your Loving Flame
14.Riding Into Jaipur
15.Rinse The Raindrops
16.Freedom(bonus)
と、上記ベスト盤が出たときには書いたのですが、ポールは期待以上のことをやってくれました。そうです、早々に新作を発表してくれたのです!
前作の『ラン・デビル・ラン』が1999年ですから2年。オリジナルアルバムとしては『フレミング・パイ』から4年。その創作意欲にただただ敬服します。
内容のほうですが、前作『ラン・デビル・ラン』同様、全体的にライブな演奏に乗せた久々にメロディアス、かつウタゴコロを感じさせる曲の多いアルバムです。
参加メンバーはよくわかりませんが全員かなりの若手のようです。録音期間も5週間程度と、一気に仕上げたようです。
まずポールのベースから始まる「1」を耳にして思うのは80年代後期のポールのちょっと暗いイメージ。曲名も「一人ぼっちの道」です、リンダ死による気持ちの整理がついていないのかなあ、と思いましたが、進むにつれ、ポールのシャウトの本音っぽさがこちらに伝わってくるのです。そしてメロディのよさ。『ジョンの魂』にも似た、心の内を音楽で伝えるような切々としたものを感じます。
その思いが強まるのが「2」。『フラワーズ・イン・ザ・ダート』の「プット・イット・ゼア」にも似たメロディですが、実にポールらしいナンバーです。続く「3」は、ポール定番の牧歌的なアコギバラッドかと思いきや、ラウディなドラムが雰囲気を変えます。「彼女が話さなくなった」というタイトルはリンダのことを思い浮かべさせます。アルバムタイトルの「4」は、1-2-3-4-5というカウントがビートルズの「You never give me your money」の一節にも似た曲。軽快なリズムに乗せてポールらしくシャウト気味に歌いますが、後半尻切れか。
ここからはバラッド調の曲が続きます。「5」が又ポールらしいバラッドの小曲。呟くようなこんなボーカルにこそポールらしさを感じます。いい曲です。本作は久々にメロディのよさが光ります。続く「6」も実に優しいメロディが印象的。ギターソロも入りますが、個性を主張するようなものではなく、あくまでポールを引き立てます。「7」は恋の気持ちをマジックと歌った、テーマとしてはよくある曲ですが、曲調も実に素直なもの。「マジックに違いない」と歌う部分のポールの切ないこと。本作に漂う本音っぽさがここにも表れています。「8」はまさに牧歌調のポール。「ブラックバーズ」に似た「カチカチ」という効果音も入ります。
「10」は一転してハード&ラフなサウンド。「11」は今の奥さんをタイトルにした曲で、インスト曲かと思わせる。3分あまりながら変化に富み、ドラマを感じさせる、いい演奏です。「14」は、インド楽器が主役となるナンバー。アルバムとしてはラストになる「15」は8分以上にも及ぶ長いナンバー。バンドサウンド全開です。元々は30分位あったようです。ポールのシャウトが年を全く感じさせないと言えばうそになりますが、それでも若い連中のバックに負けていません。ボックスで人生を総括するのはまだまだ早いぞ、といった気概を感じます。間違いなく、私にとっては『フラワーズ・イン・ザ・ダート』以来の名作と言えます。

ボーナストラックの「16」は、2001年10月20日に行われた、ニューヨーク世界貿易センタービルに対するテロでの犠牲者やその遺族を支援するチャリティイベント「The concert for New York」(ポール主催)のフィナーレを飾った曲です。観客の歓声が入っていますが、スタジオ録音のようです。

 

Part2はこちら

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