rock


2003年は、ついにDVDお気に入り盤が登場。いよいよDVDの時代へ突入か!

Jonny Lang
THE ALLMAN BROTHERS BAND
WONDERMINTS
YES
VAN MORRISON
CONCERT FOR GEORGE
WARREN ZEVON
伊藤 さやか
STEELY DAN
LED ZEPPELIN

JONNY LANG & THE BIG BANG 『SMOKIN'』
EAGLE RECORDS EAGCD238
1.Louise
2.Changes
3.Lovin' my baby
4.I love you bvest
5.Nice & warm
6.It's obdasious
7.Sugarman
8."E"Train
9.Too Tired
10.Smokin'
11.Malted Milk
CD屋さんに行くと、「そろそろジョニーの作品は出ないのかね」と思いながら「J」のコーナーを探すことが度々ある今日この頃でした。前作が98年。ですからもう5年が経過しています。若いのに寡作でどうする!?不良少年にでもなってしまったか!とまあ、老婆心ながら心配しておったのですが、そんなある日タワレコで見つけたのが本作。ドイツの輸入盤でライナーも何が書いてあるか良くわからないのですが、本作はニューアルバムではなく、どうやら「ビッグ・バン」というバンドを従え、1995年に発売された初めてのアルバム作品の様です。ということで、2002年頃に再発されたものがようやく日本に入ってきたと言うことなんですね。
よくわからないライナーをそれでも読むと13歳の頃に作られたようなことが書いてあります。前作が98年で18歳ですから、95年は15歳くらいのはずですが、まあ、それにしても若い。というか幼いはずなのですが、ソウルフルなボーカルは既に出来上がっています。そして問題はギター。スティービー・レイ・ボーンばりの粘りのあるギターはジョニーのものなのでしょうか。バンドにはテッド・ラーセンというギタリストもいるようなのですが、ここで聴かれるブルージーなギターは以降の作品でも聴けるものですから、私にはジョニーによるものだと思えるんですが、それにしてはうますぎ!

曲の方はジョニー自らの作品を始め、他のメンバーの作品やカバー作品を収録しています。「1」〜「4」までは一気にブルースが続きます。これらの渋い曲が本当に元服前(^^;の少年の作品なのか?で、「5」はもうディープブルース。若き日のスティービー・レイ・ボーンもここまで弾けたかどうか。。
「6」では軽妙なタッチのギターが聴け、既に表現力も備えつつある様子がわかります。そして「7」から再び続くブルースギター。ワンパターンと言えないことはないですが、それにしても大したものです。アルバムタイトルの「10」は全編ギター弾きまくりのインストルメンタルナンバー。さながらスティービー・レイ・ボーンの「ソウル・トゥ・ソウル」を意識した作品といえましょうか。ラストの「11」はアコギを片手にロバート・ジョンソンのナンバーを歌っています。こうしたシンプルな作品ではさすがに若さが出てしまいますが、しかし、既にブルースが好きだったんだな、ということが伝わってきます。

以上全編約44分。13歳にしてブルース漬け少年のデビュー作品は、年を考えると驚くべき内容で、こうした素地があってメジャーでのデビューがあったんだなあと感慨深くなった作品なのでした。

The Allman Brothers Band
『Live at the Atlanta International Pop Festival』

EPIC
MHCP139-140

Member
Disk1
1.Introduction(MC)
2.Statesboro Blues
3.Trouble No More
4.Don'g Keep Me Wonderin'
5.Dreams
6.Every Hungry Woman
7.Hoochie Coochie Man
8.In Memory Of Elizabeth Reed
9.Whipping Post
10.Mountain Jam Part 1
11.Rain Delay(MC)
12.Mountain Jam Part II
Disk2
1.Introduction(MC)
2.Don't Keep Me Wonderin'
3.Statesboro Blues
4.In Memory Of Elizabeth Reed
5.Stormy Monday
6.Whipping Post
7.Mountain Jam

The Filmore Consert
驚くべき「ニューアルバム!」30年以上の時を越えてオールマンブラザースの名演が復活を遂げました。オールマンブラザースのライブと言えば1971年3月はフィルモアイーストにおけるライブ盤「フィルモア・イースト・ライブ(右写真)」がロックライブの名盤中の名盤と言われる位評価が高い訳ですが、本作はこれを遡ること約7ヶ月、1970年7月のアトランタ・ポップ・フェスティバルでのライブ音源を収録したものです。

当時のオールマンブラザースと言えば、デュアン・オールマンとディッキー・ベッツのツイン「リード」ギター、グレッグ・オールマンのサザンフィーリング溢れるボーカル、ツインドラムを擁した強烈なリズムセクションによる天下無敵のインプロビゼーションバンドだったわけですが、本作もその醍醐味が十二分に堪能できる内容となっています。特にディスク1「5」「6」「7」「11」などの「フィルモア・イースト」未収録曲や、雨により中断されるマウンテンジャムなど、「フィルモア・イースト」にない聴き所も多く、収録時間も2時間30分超と聴き応えは十分です。唯一残念なのはヒスノイズでしょうか。全体的に音質がやや平板で余りいいテープを使っていなかったのかなと思わせますが、何せ30年前の音源、贅沢は言えません。会場の興奮や演奏の熱気は十分伝わってきます。取り合えず最後まで収録されていたことに感謝しましょう。

本フェスティバルにおいてオールマンブラザースは、地元で売り出し中の人気バンドということで主催者側の意向により、7月3日のオープニングと7月5日(正確には7月6日の深夜)のエンディングを務めたようです。本作はその模様をほぼ完全収録しています。ちなみに7月4日にはジミ・ヘンドリックスが伝説的なライブを演奏しています。

ディスク1は7月3日の演奏です。「2」〜「4」まではフィルモア・イースト・ライブでもおなじみの、問答無用のセットリスト。デュアンによるスライドの泣きは流石にフィルモア盤に敵いませんし、全体的に荒削なれども、パワフルなステージが展開されます。「5」「6」はファーストアルバムに収録されている曲。スタジオ盤に比べより泥臭い演奏が続きます。ウィリー・ディクソンの「7」はセカンドに収録されていますが、比較的スタジオ盤に近い演奏か。続く「8」「9」はもう言うことなし。「8」はこの時点での新曲(セカンドアルバム発売直前だったとのこと)ということもあってかハイテンションながらも丁寧な演奏がなされています。ツインドラムの小刻みなリズムにベリー・オークレーのベースが絡みメインフレーズに入っていく様はもう鳥肌ものです。「9」はフィルモア盤に比べれば約半分強の時間ですが、それでも15分近く。良くこれだけテンションが続くものです。そして「9」に間髪いれず始まる「10」。ギター中心にメーター振り切りっぱなしの演奏が続くのですが、ライナーによると大雨が降った関係で一旦演奏を中断し、30分の休憩の後再びジャムを再開したとのこと。それが「12」になるようです。エンディングに、お約束のツインドラムソロ(ツインでソロというのも変ですが(^^;)が入ります。で、なぜか最後はフェイドアウト。これでは完全収録とはいえないかな(^^;。
ディスク2に入ります。こちらは7月5日の演奏で、フェスティバルを締めくくるいわば「トリ」を務めた演奏と言うことになりますが、録音の方はディスク1より若干落ちます。「2」〜「4」、「6」はディスク1と同じ曲ですが、聴き比べするほどまだ聴き込んでません。最高の聴きものは30分弱に及ぶジャムの「7」でしょう(フィルモア盤のジャムは33分ありますが。。)。基本的展開はフィルモア盤と同様のようですが、ジョニー・ウインターが参加している模様。ギターバトルの後キーボードソロに移り、その次に破壊的なトーンのギターが切り込んできますが、これがジョニーでしょうか。そして10分前後からドラムのソロが入り、これが延々5分近く続き、ベースソロが続きます。そして20分頃からバンド演奏へ移行し、ステージが、そしてフェスティバルが幕を閉じるのです。

以上合計2時間30分弱、30数年前の出来事がたった今のことのように再現されています。全くの古さを感じさせないエネルギッシュな演奏で、翌年のデュアン事故死を改めて残念に思いました。しかし、ツェッペリンのライブもそうでしたが、この1970年前後の数年間は、アメリカのあちこちでこんな凄い演奏がされていたのかと思うと、当時の人がつくづくうらやましく思えてきます。なお、10月にはフィルモア盤のデラックス・エディションが発売されています。こちらは93年に発売されたリマスター盤の一部曲順を変え、更に「ミッドナイト・ライダー」を加えたもの。再度リマスターが行われているため音質も素晴らしく、お奨めです、というか、ありきたりですが、ロックファン必聴!

WONDERMINTS 『mind if we make love to you』
Canyon PCCY-01645   Member
1.On the Run
2.Ride
3.Shine on Me
4.Time Has You
5.Another Way
6.Project 11
7.Out of Mind
8.Sweetness
9.If I Were You
10.Something I Knew
11.Listen
12.So Nice
13.Bonus truck(Gettin' better)
私がワンダーミンツの存在を知ったのは、ブライアン・ウィルソンの1999年来日公演を通じてでした。ブライアンが全幅の信頼を寄せているバンドがあって、ブライアンの記念すべき来日公演は、ワンダーミンツ(や「ジェスリー・フォスケット」など)のサポートがあって初めて実現するのだという評判がもっぱらでした。事実、東京国際フォーラムでのライブでは、アルバム「ペットサウンズ」がものの見事に再現されました。

90年代後半と言えば、「ジェリーフィッシュ」や「ティーン・エイジ・ファンクラブ」「ブラー」などのポップセンスあふれるバンドのブームが一区切り付いた時期、それと入れ替わるかのように出会ったのがワンダーミンツでした。当時ワンダーミンツは既にサードアルバムまでリリースしていました。60年代のポップスや(今にして思えばソフト)ロックを下敷きにしたようなファースト、どちらかというと通好みなポップスのカバー集である2枚目、前2作に比べより完成度・ポップ度が高い3枚目といずれ劣らぬ好盤でした。しかし、その後4年近く、彼らのニューアルバムが登場することはなかったのです。どうやらブライアン・ウィルソンとの活動が当初想定していたよりも大幅に長くなり、ニューアルバムどころではなかったというのがブランクの理由だったようです。しかしその間、私自身は彼らのこともすっかり忘れ去っていました。(^^;

前作から4年弱、ブライアン・ウィルソンとの公演活動という極めて貴重な体験を経てのワンダーミンツのニューアルバムは、時間をかけた作品だけあって、とにかく作りこみが徹底しています。アイディアも満載で、ポップスをとことん追求する姿に求道精神すら感じる、徹底したポップな作品集と言えます。
ジャケットやインナースリーブは秋を感じさせるもので、日本の風景かなとも思わせる写真や紅葉の写真が添えられています。アルバムのテーマは「秋」かな、とも思うのですが、日本で発売されたのは4月でした(^^;。

幕開けを飾る「1」はボーカルで始まり、アコギのカッティングが加わって徐々にテンションが上がります。いかにもソフトロックといった印象のスケールの大きい曲で、アルバムの出来に期待感も高まります。60年代サウンドを中心に、この一曲だけでどれだけのアイディアが盛り込まれていることか。聴いたことのあるフレーズがいくつかあるのですが、とてもとても私には解明できません。練りに練られたサウンドです。エンディングがいきなりカットされて続くのが、もろビーチボーイズな「2」。ブライアン・ウィルソンも参加しているようです。「3」はパワーポップ風のアップテンポナンバーですが、キーボードやストリングス、ホーン類の使われ方は60年代風。曲のよさが光ります。シングル向けか。
「4」は、フォーク風のアコギといい、ダルなドラムと言い、ベックの初期の曲かと思えるほど。しかし、曲、演奏、ストリングスアレンジともにいい!ベックと根本的に異なるのはメロディやストリングスの持つ表情の優しさでしょうか。温故知新の精神は共通しているんですが、ポップスを一旦解体してしまったのがベックなら、ワンダーミンツは、あくまでポップスの歴史の延長に自らを置いていると言うことにでもなるのでしょうか。
「5」では、ヴァイオリンを中心としてストリングスが全面にフィーチャーされています。そしてエンディングにかけて流れるクラリネット(自信なし)に完敗。それにしても、ボーカル担当の「ダリアン・サハナジャ」氏、声質がもろソフトロックです。
「6」〜「7」はコーラスがもういかにもソフトロックな作品。特に「7」はタイトなリズムに効果的にアコギが絡むのですが、リズムセクションがしっかりしていて、前作に比べ、演奏力が上がっていることを実感。曲の方も極上のポップスです。
60年代の一発屋、クラシックス4の「スプーキー」を思わせるようなメロディをベースにした「8」は、インド楽器の様にも聞こえる効果音や中盤のピアノなど、とにかくアイディアが盛りだくさんです。
「9」のイントロは、本作の中ではオーソドックスと言えますが、始まってしまえばワンダーミンツの世界。ポップスへの愛着ぶりが伝わってくる名品です。「10」〜「12」は、メンバー自身のライナーに寄れば2001年の貿易センタービル同時多発テロを受けてのことを歌っているようです。音としては「11」「12」はビーチボーイズから多くのアイディアを拝借しているよう。
ボーナストラックとなる「13」は、ビートルズ作品から。ビートルズにしてはマイナーな曲といえますが、ポールマッカートニーは近年の公演でこの曲を選んでおり、その辺が録音のきっかけになったのかもしれません。

全編通して13曲、50分弱と今の時代決して長い収録時間とは言えませんが、曲の良さ、アイディアあふれるアレンジなど内容の濃さ・演奏の充実振りが光る好盤となっています。曲によって各メンバーがボーカルを担当しており、それぞれが異なる個性を持ちながら、全体としてはトータル感あるアルバム作りがなされている点も見逃せません。
それにしてもこのバンド、1,2作目と3作目、本作とアルバム発売元が異なります。今後も安定した活動が出来るのか、ちょっと心配です。それと、本家ブライアン・ウィルソンの方は一体どうなっているのだろう(^^;。。

YES 『FRAGILE expanded&remastered』
WPCR-11513
1.ラウンドアバウト
2.キャンズ・アンド・ブラームス(ブラームス=交響曲第4番ホ短調第3楽章)
3.天国への架け橋
4.南の空
5.無益の5%
6.遥かなる想い出
7.ザ・フィッシュ
8.ムード・フォー・ア・デイ
9.燃える朝やけ
10.アメリカ
11.ラウンドアバウト
(アーリー・ラフ・ミックス) member
イエス音源につきましては、80年代の初CD化時、その音質の悪さに辟易としていました。中でもひどかったのが本盤「FRAGILE(邦題『こわれもの』)」です。曇りガラスを通して窓の外を見るようなもので、取り合えずCD化してしまえと言わんばかりのレコード会社の安易な姿勢が露骨だったのですが、1991年、4枚組ベストCD-BOX発売により状況は一変します。収録音源は全てデジタルリマスターされ、極めてクリアーな音源が見事に再現されたのです。イエスのサウンドは、各メンバーの強烈な個性とテクニックのぶつかり合いの産物です。スティーブ・ハウの多国籍ギター、クリス・スクワイアのゴリゴリベース、リック・ウェイクマンの縦横無尽なキーボード群、ビル・ブラッフォードの散弾銃ドラムにジョン・アンダーソンの透明なヴォイス。これらの一つ一つを堪能できて初めて、オーケストラのような迫力あるバンドサウンドを楽しむことができたわけです。高音質であることはいわば必須条件であった訳であり、そうした意味では、この時点でようやくファンはYESサウンドをまともに聴くことができるようになったと言えます。その後、オリジナルアルバムが順次リマスター化され、イエスサウンド正常化プロジェクトは一旦区切りをつけました。その際、私が本「こわれもの」でゲットしたのはアメリカ盤であり、他のリマスター盤と同様ジョー・ガストワート
「FRAGILE」ゴールドCD
氏によるリマスターバージョンのゴールドCDでした。今までの音は一体なんだったの?といいたくなる位の素晴らしい音質で、改めて「こわれもの」の素晴らしさを認識したのです。時あたかも1993年、今からちょうど10年前のことです。

とここで「こわれもの」を簡単にご紹介します。本作は1971年発表、YESの4作目にして大出世作と言える作品です。前作の段階でギタリストスティーブ・ハウが参加し、イエスサウンドはその骨格が完成したといえます。そして本作の段階で加わったのがキーボードのリック・ウエイクマンです。彼の参加によりイエスサウンドに緻密さとスケールの大きさ、それにクラシックセンスが加わりました。そしてこの「第3期」イエスの段階で、イエスサウンド並びにバンドスタイルは初めての完成期を迎えたのです。この時期のイエスサウンドの特徴として言えるのは、前述の通り各メンバーの個性やテクニックのぶつかり合いとその見事な融合です。そして、出来上がったサウンドは、クラシックとロックが融合する中でハイスピードかつ緻密、混沌かつ調和、ハイテンションかつ繊細、重厚かつクリアーと、一見相反する要素が見事に調和され、スケールの大きさをどこまでも追い求めるものでした。本作では、組曲ともいえる長作「1」「4」「6」「9」にメンバーソロ作品の「2」「3」「5」「7」「8」を挟み込むという構成になっており、グループ作品と主としながらも、各メンバーのアイディアやテクニックも満遍なく披露するという極めて贅沢な構成になっています。次作「危機」になると完全にトータルアルバムとしてのコンセプトが固まり、メンバーの個性もその中で演じざるを得ないものとなっているのですが、本作ではまだ自由奔放な部分が残されているにも拘らず、アルバムとして通して聴くとトータル感やスケールの大きさを感じることができます。恐らくビル・ブラッフォードなどは、「危機」の様な完全にコントロールされた中でしか自分の個性を発揮できないような環境に、居心地の悪さを感じたのではないかと思います。「危機」をもってビル・ブラッフォードはイエスを脱退するのです。
もう一つ、本盤を語る上で忘れてはいけないものはロジャー・ディーン氏によるアルバムジャケットです。大昔の地球上の出来事の様でもあり、未来のことの様でもあり、あるいはどこか遠い惑星でのことの様でもある幻想的なイラストは、イエスサウンドのイメージと見事に調和していました。「危機」では「YES」ロゴが完成するのですが、本作ではまだそこまでには至っていません。しかしながら、レコード時代の本作にはロジャー・ディーン氏のイラストをベースにしたリーフレットも付いており、視覚と聴覚でリスナーを別世界に誘い込もうと言うイエスのコンセプトに一役買っていたといえます。

ということで、再びリマスターCDの話に戻りましょう。(^^;
件のゴールドCDは私にとって溜飲の下がるような気持ちのよいものであったわけですが、実は2点ほど納得のいかないものがあったのです。その一つは、前述のリーフレットが付いていなかったことです。でもう一つは、「9」のラストで一旦終了の後、本来は「3」のフレーズがリフレインされるのですが、ここが見事にカットされてしまったことなのです。リマスター時にオリジナルサウンドに手が加えられることはママあることなのですが、それにしてもこれだけ大胆にオリジナルサウンドがカットされることは珍しいです。ジャクソン・ブラウンの名作「プリテンダー」1曲目「The Fuse」にも同じ様なことが言え、フェイドアウトせずに終わるはずの曲がフェイドアウトしてしまい、ショックを受けたことがあるのですが、それ以上のショックを受けてしまったのです。

さて、いよいよ本題です(^^;。前リマスター盤には溜飲が下がるようで下げ切れなかったという、ノド越しの悪さを感じていました。その後もイエス作品は評判となった紙ジャケシリーズなど活発に再発が行われ、その度に「リマスター」が謳われたのですが、どうも今ひとつ信用ができなかったのです(^^;。
そして、前回ゲットの1993年からちょうど10年となる今年、新リマスターバージョンとなる本作が発売されたのです。本作はRHINOによる監修、2曲のボーナストラック(「10」「11」)を含んでいるという点で、これまでのリマスターバージョンとは決定的に異なるため、勇気を振り絞ってゲットしてみました。そしてまず最初に「9」を聴いてみたのですが、見事に「3」のリフレインが再現されていました。リマスターはDan Hersch &Bill Inglot氏によるもので1993年バージョンとは異なるようですが、音質の方の違いはどうも今ひとつよくわかりません。しかし、音の分離、重厚さ、音圧、クリアー感のいずれも文句のないものです。又、リーフレットの方も何とか再現されていました。更に、ボーナストラックの「10」はこれまでシングルバージョンでしか聴いたことがなかったんですが、今回収録のものは10分を超える長尺もの。サイモン&ガーファンクルの曲を見事にプログレ化させています。そんなこんなで、本リマスターバージョンの登場により、10年にわたる溜飲の半下げ状態にようやく終止符を打つことができたといえます。やれやれ。(^^;

VAN MORRISON 『WHAT'S WRONG WITH THIS PICTURE』
TOCP-67241
1.What's Wrong With This Picture
2.Whinin Boy Moan
3.Evening In June
4.Too Many Myths
5.Somerset
6.Meaning Of Loneliness
7.Stop Drinking
8.Gold Fish Bowl
9.Once In A Blue Moon
10.Saint James Infirmary
11.Little Village
12.Frame
13.Get On With The Show
昨年の「ダウン・ザ・ロード」に続き、今年もやってくれました!こうして年に一度ヴァン・モリソンの新作を楽しめるのはとても嬉しいことです。今回はレーベルもジャズの本場「ブルーノート」に移籍しての新作です。ジャズと言えば95年の「ハウ・ロング・ハズ・ディス・ビーン・ゴーイング・オン」がもろジャズ作品でしたし、「ムーンダンス」などの名曲もジャズを下敷きにしており、ヴァン氏のバックボーンのひとつであるには違いありません。本作はジャズやR&Bを下地にしながらも、あくまで充実した「ヴァン節」を聴かせます。いやあ、最初はレーベルからして、ジャケットからしていかにもジャズだったものですから、ジャズが苦手な私としては「今回はキッツソー」と思ったのです。事実、何度か聴いたところでは「なんかいかにも御大」という感じだなあ、と思ったんですが、さすがはヴァン氏のボーカル、聴き込むにつけ惹き込まれる魅力に溢れた好盤であります。

まずはハチロクビートで始まる「1」。1曲目かつアルバムタイトルらしからぬリラックスした雰囲気で、「序曲」というイメージですが、歌詞の内容は力強い。過去のヴァン・モリソンはもう自分ではない、今の自分のみがそうなんだということを訴えています。
「2」はもろジャズ。フォービートです。テンポが上がって、いよいよ本格的にアルバムが幕を開けるという雰囲気です。
ホーンのアレンジがミステリアスな「3」、ブルースの「4」と続きます。演奏も素晴らしいんですが、ヴァン氏のボーカルはバックに左右されない力強さに満ちています。純粋な恋を歌ったような「5」は美しいバラード。「6」もそうですが、クラリネットやホーン中心の繊細なバックの美しさが光ります。
一転、ライトニング・ホプキンズの「7」ではロカビリーでアップテンポに攻めます。と、ここでジャケットを見てもどこにもバックメンバーのクレジットがありません。いかにも本作はバンドサウンドではなく、ボーカル作品であると言わんばかり。と、ジャケットを見ていて気が付いたのですが、ヴァン氏の写真どころか、一枚の写真もありません。徹底して地味なジャケットです。
「8」は典型的なブルース。地味なシンガーなんだからそっとしておいてくれと言ったような内容の歌詞です。「4」にしてもそうですが、自らの本音を歌うときはヴァン氏はブルースがお気に入りのようです。「9」は曲も良いのですが、ホーンとピアノのアレンジが軽妙で素晴らしい作品、と思い、歌詞を見ると名曲「ムーンダンス」に似た雰囲気を持つ恋の歌。シングル向きかもです。
「10」はトラッドのようで、ルイ・アームストロングも取り上げたことがあるそうです。哀愁溢れるメロディはそのせいか、どこか聴き覚えがあります。
「11」はホーンもさることながら、ストリングスがとても美しい佳曲。これも一種のラブソングですが、こうして振り返ると、本作ではラブソングがどれも聴いていて和みます。
そのままずばり「名声」を歌った「12」は、やはりブルース。本音はブルースなんです(^^;。アルバム全体に共通するホーンセクションを入れず、ギターを脇に固めて歌う様は、40年続けてきた迫力に満ちて、もう孤高の世界です。そしてラストの「13」は、前作の雰囲気も持つ、古きよきR&Bの魅力を感じさせる名曲。気持ちが弾むようなバックに乗せられて気持ち良さそうに歌うヴァン氏のパワーは全く衰えていません。鳥肌の立つような名唱。まさにヴァン節ここにあり。感動を表す言葉のどれも虚しいのですが、ポール・マッカートニーが聴いたらたぶん「俺もきちっと声を鍛えないと」なんて思うんではないでしょうか。

年を重ねても老けを感じさせない。歌に命を捧げた男は、歌と共にある限りは若さを失わないのでしょうか。自由奔放で、時に無骨でさえあるボーカルと、ホーンセクションを中心にとても丁寧に固めたバックとのコンビネーションも絶妙です。今更自らの世界を横に広げることはしないけど、一作ごとに、奥へ奥へと自らを深め、自らのルーツを手繰り寄せるような旅をヴァン・モリソンは続けているようです。そんなヴァン・モリソンの旅にこれからも付き合い続けて行きたいものです。

Various Artist 『CONCERT FOR GEORGE
ワーナーミュージック・ジャパン WPBR-90271/2
【ゲスト】
ポール・マッカートニー
リンゴ・スター
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
ビリー・ブレストン
ゲイリー・ブルッカー(プロコル・ハルム)
ジュールズ・ホランド
クラウス・ヴーアマン
【バックバンド】
エリック・クラプトン
ジェフ・リン
ダニー・ハリスン
ゲイリー・ブルッカー
ジム・ケルトナー
レイ・クーパー
マーク・マン
アンディ・フェアウェザー・ロウ
アルバート・リー
デイヴ・ブロンズ
クリス・スティントン
ジム・ホーン
トム・スコット
Disk 1
[第1部]
1 ユア・アイズ/アヌーシュカ・シャンカール
2 ジ・インナー・ライト/ジェフ・リン
3 アルバン/ラヴィ・シャンカール
4 (ギター:エリック・クラプトン)
5 モンティ・パイソンのメンバーによるコント
[第2部]
1 アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー/ジェフ・リン
2 恋をするなら/エリック・クラプトン
3 オールド・ブラウン・シュー/ゲイリー・ブルッカー
4 ギヴ・ミー・ラヴ/ジェフ・リン
5 ビウェア・オブ・ダークネス/エリック・クラプトン
6 ヒア・カムズ・ザ・サン/ジョー・ブラウン
7 ザッツ・ザ・ウェイ・イット・ゴーズ/ジョー・ブラウン
8 ホース・トゥ・ザ・ウォーター/サム・ブラウン
9 タックスマン/トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズw/ジェフ・リン
10 アイ・ニード・ユー/トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズw/ジェフ・リン
11 ハンドル・ウィズ・ケア/トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズw/ジェフ・リン
12 イズント・イット・ア・ピティ/エリック・クラプトン&ビリー・ブレストン
13 想い出のフォトグラフ/リンゴ・スター
14 ハニー・ドント/リンゴ・スター
15 フォー・ユー・ブルー/ポール・マッカートニー
16 サムシング/ポール・マッカートニー&エリック・クラプトン
17 オール・シングス・マスト・パス/ポール・マッカートニー
18 ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス/エリック・クラプトン&ポール・マッカートニー
19 マイ・スウィート・ロード/ビリー・ブレストン
20 ワー・ワー/ジェフ・リン&エリック・クラプトン
21 シー・ユー・イン・ユア・ドリームス/ジョー・ブラウン

Disk2
[劇場公開版]
曲順は上記第2部の内、1,2,9,11,13,14,モンティパイソン、6,8,5,12,15,16,第一部の3,2,第2部の19,17,18,21の順。演奏に各ミュージシャンのコメント、リハーサル映像などを挟んで再編集されています。

ジョージ・ハリスンの1周忌に当たる2002年11月29日、イギリスはロイヤルアルバート・ホールにて、一夜限りのジョージ追悼コンサートが行われました。本作はその様子を収めた作品です。発売日は約1年後の11月27日。DVD2枚組の大作です。

参加メンバーは上記の通り、ジョージと親交が深かったミュージシャンの他、モンティ・パイソンのメンバーなどです。お祭り騒ぎでもなければしんみりしている訳でもない。それぞれのミュージシャンが「忠実」に、とても丁寧にジョージの曲を演奏しています。まずこの点に驚きます。ジョージの曲で聞きなれた演奏がほぼ完璧に再現されているのです。それが各ミュージシャンのジョージに対する敬意の示し方なのでしょうか。
とにかくメンバーが多いですから、楽器の数が多い!多いときでドラムが3台!ギターに至っては果たして何台あるのやら。。。それでもサウンドとして見事なまとまりを見せているのはさすが当代一流のミュージシャンという他ありません。アルバム「オール・シングス・マスト・パス」収録曲などはそのままウォール・オブ・サウンドになっています。

見所は書き切れない位沢山あるのですが、主要な点だけ。まずは[第2部]の1〜4、ここはジョージの日本公演と似た曲順で、12年前の11月の幸福な時間を思い起こしてしまいます。
次に、司会進行のクラプトン。司会とは言いつつも今回はとにかく脇役に徹しています。自らボーカルを取る曲もあるのですが、原曲に忠実であることにこだわっています。故にギターソロもほとんどなし。ジョージの日本公演でソロを付けた「サムシング」などでもボーカルに徹しています。弾いているなーと思えるのは「イズント・イット・ア・ピティ」「ホワイル・マイ・ギター」位。「ホワイル・マイ・ギター」でも前半部分はこれが初めてではないかと思えるくらい、生真面目なソロを聴かせています。
そしてやはり最も感慨深いのはポール・マッカートニー。ポールの映像はこれまで何度も見てきましたが、今回はポールまでもがとても控えめなのです。出過ぎない。ポールがオールディズ以外にこれだけ人の曲を歌うってあったでしょうか。見ものはリンゴをバックに何年ぶりになるのかの共演です。そして「サムシング」へ。日本公演でも見せてくれたウクレレを弾きながらのポールのボーカルなのですが、中盤からの展開が異なります。徐々に演奏が厚くなっていき、ソロが始まるところで全員の演奏が加わり、その後オーケストラが加わるという演出。これには参りました。素晴らしいの一言。涙がこぼれてしまいました。
そしてラストのジョー・ブラウン、ウクレレを抱えながらジョージの曲かと思いきやさにあらず。ドリス・デイが歌った同名映画主題曲です。まさに「夢で逢いましょう」。シンプルながら素晴らしい演奏です。ファンも仲間も、この夜は夢の中でジョージに会えたのではないでしょうか。

本作では全編を通して、ジョージの人となり、そしてジョージの音楽を愛してやまない仲間による素晴らしい一夜の様子が伝わってきて、ジョージっていい奴だったんだな、いい曲作っていたんだなと言うことを改めてつくづく感じました。ジョージとファンのために集まってくれたミュージシャンの皆さんには、ただただ感謝の一言です。素晴らしい音楽をありがとうございます。
それとダニー。日本公演の頃は小さな子供だったのに、大きくなりました。恐らくは父の遺品であろうギターが体に似合わず大きいのが微笑ましいのですが、彼もクラプトンを慕っている様子です。いいことだ(何を感心しているのやら(^^;)
唯一、どうしてもだめなのがインド音楽のコーナーです。バングラディシュコンサートでもそうだったんですが、まあ、便利な世の中になったもので、ここは飛ばさせていただいています。<(_ _;)>

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