rock


一昨年辺りから急増してきた掘り出し物系DVDが本年大ブレイク。今年はDVDばっかだったなあ。
それにしても未だにCCCDの東芝さん。いつになったら止めてくれるのでしょう。

ERIC CLAPTON
ROLLING STONES
STEVIE RAY VAUGHAN
The Old Grey White Test
RANDY NEWMAN
JOHN LENNON
BRIAN WILSON
JONNY LANG
AEROSMITH
THE BEATLES

ERIC CLAPTON 『ME & MR JOHNSON』

REPRISE
WPCR-11800
1.When You Got A Good Friend
2.Little Queen Of Spades
3.They're Red Hot
4.Me And The Devil Blues
5.Traveling Riverside Blues
6.Last Fair Deal Gone Down
7.Stop Breakin' Down Blues
8.Milkcow's Calf Blues
9.Kind Hearted Woman Blues
10.Come On In My Kitchen
11.If I Had Possession Over Judgement Day
12.Love In Vain
13.32-20 Blues
14.Hell Hound On My Trail
ロバート・ジョンソンの全録音を収録した「ロバート・ジョンソン・コンプリート・レコーディングス」が発売されたのは1990年、エリック・クラプトンの「フロム・ザ・クレイドル」が発売されたのは1994年。それから10年を経て、エリック・クラプトンによるロバート・ジョンソンカバー集が発売されました。フロム・ザ・クレイドルではロバート・ジョンソンのカバーを収録していませんでした。メジャーなタイトルが多いロバート・ジョンソンを敢えて避けたのかと思っていましたが、そうではなかったんですね。特別な思い入れがあったと言うことのようです。そして晴れてロバート・ジョンソンオンリーのカバー集に打って出たのです。
10年前の「フロム・ザ・クレイドル」と比べて感じるのは、ボーカルの熟成です。気合いと勢いで作った(と言ったら言い過ぎかな(^^;)とも感じられる「フロム・ザ・クレイドル」では、クラプトンの気張りすぎたボーカルが気になっていました。まあ、そもそも黒人ボーカルってキーが高いんでしょうから歌いにくいのかも知れないんですけど。本作でのクラプトンは気張りすぎず、丁寧に歌っているな、と言う印象を受けます。恐らく、クラプトンとしても思い入れが強いだけに、制作に際しては、その思い入れが過剰に注入されないよう冷静且つ慎重に歌い込んだのでははないでしょうか。或いは10年のキャリアが現れているのかも知れませんね。
それともう一点は、バンドサウンドの違いです。クラプトンが弾きまくっていた「フロム・ザ・クレイドル」に比べ、本作では演奏の軸足をバックに置き、自身はボーカルに専念しているようです。その演奏の方ですが、2003年の日本ツアーのメンバーを中心にしているようです。私も武道館ライブに行って来たのですが、スティーブ・ガッドのドラムだけが違和感を感じていました。全体のグルーブに横やりを入れるような重いスネアが気になっていたんですね。本作でもそのガッド氏を起用しているので心配したのですが、全体的には気にならないものの、ビートの強い「7」「8」「14」などでは「もちょっと何とかならないかな」と感じました。しかし、本作ではビリー・プレストンがキーボードで非常に重要な役割を果たし、本作のサウンドを豊かなものにしています。ソロもいいですが、ソロ以外でも非常にタメのあるサウンドで演奏に膨らみを持たせているのです。
さて、曲の方を見ていきましょう。「1」は原曲の雰囲気を比較的忠実に再現しています。後半に軽めのソロを入れエンディング。「2」は何と言っても間奏のビリー・プレストンがいい。原曲をスローに再現し、濃厚なブルースに仕立て上げています。「3」は、「成る程この曲はこういう要素を持った曲だったのか」と感心してしまうような、ラグタイム風の曲に仕立て上げています。ピアノ、ハーモニカ、ボトルネックと続くソロが聴きもの。「4」は原曲に忠実で、アコギとハーモニカ中心の演奏です。「5」は「クロスロード」にも似たギターリフアレンジが特徴。クラプトンの抑揚あるボーカルも聴きもの。「6」は原曲をアップテンポにアレンジ。ストーンズもカバーした「7」もクラプトンのボーカルが聴き所でしょうか。ステージで披露されたことがあるかは分かりませんが、今まで、恐らく何度も何度も歌ってきたナンバーなのではないでしょうか。歌いこなしているとは正にこのことです。「8」は原曲をかなりヘビーに再現しています。やはり気になるのはドラム。やたらバタバタしていてタメもなく、ブルースには合わないドラムだと思うんです。「9」は原曲に忠実な演奏ですが、クラプトンのギターがいい。「10」も同様に原曲に忠実な演奏です。「11」は原曲のリフをうまくアレンジして珍しくエイトビートに乗せて演奏しています。本作で恐らく最もアレンジに苦慮したと思われるのが「12」。何と言ってもストーンズのバージョンが有名ですから。敢えてかどうか、アコギは使われずにブギー調に進みます。ストーンズよりはこちらの方が原曲に近いと言えるでしょうか。感情移入も余りせずに比較的淡々と歌っています。結果として受ける印象も浅いかな、と言うのが率直な感想です。原曲のそこはかとなく忍び寄る寂しさも、ストーンズの未練がましさも感じません。「13」は元々がアップテンポな要素を持っていますが、そこをうまく生かしておしゃれにアレンジしています。ビリー・プレストンのピアノの存在感が大きいですね。「14」は原曲自体つかみ所のない曲ですが、クラプトンバージョンでは、スティーブガッドのドラムが良かったのか悪かったのか。
こうして通して聴いてみると、主役となるクラプトンのボーカルがロバート・ジョンソンの原曲の良さをうまく再現しながらも、感情移入については一線を画しているというか、感情を込めすぎないよう、意図的に歌っているように思えます。本当は思いっきりブルージーに歌いたかったのではないか、とも思えるのですが、そうしなかったのは、前述の通り、生涯の「指標」(ライナーより)であるロバート・ジョンソンに敬意を表してなのか、或いは別の意図があってのことなのか。どちらにしても、クラプトンの歌のうまさと、歌とギター一本で全てを表現して見せたロバート・ジョンソンの曲作りのうまさ、そして底知れぬ魅力を再認識してしまった作品となりました。

ROLLING STONES 『FOUR FLICKS』

WARNER MUSIC
WPBR-90401~4

Member
ディスク:1
1.TIP OF THE TONGUE
(ドキュメント映像)
2.LICKS AROUND THE WORLD
3.TORONTO ROCKS
4.THE BOOTLEGS
(1)ビースト・オブ・バーデン
(2)ユー・ドント・ハフ・トゥ・ミーン・イット
(3)ロック・ミー・ベイビー
(4)ビッチ
(5)お前をはなさない
(6)エクストリーム・ウエスタン・グリップ
(7)ウェル・ウェル

5.Monkey Man
ディスク:2
1.イントロ
2.ストリート・ファイティング・マン
3.イフ・ユー・キャント・ロック・ミー
4.ドント・ストップ
5.モンキー・マン
6.悲しみのアンジー
7.レット・イット・ブリード
8.ミッドナイト・ランブラー
9.スルー・アンド・スルー
10.ハッピー
11.ユー・ガット・ミー・ロッキング
12.キャント・ユー・ヒア・ミー・ノッキング
13.ホンキー・トンク・ウィメン
14.サティスファクション
15.イッツ・オンリー・ロックン・ロール
16.ホウェン・ザ・ウィップ・カムズ・ダウン
17.ブラウン・シュガー
18.ジャンピン・ジャック・フラッシュ
ディスク:3
1.ブラウン・シュガー
2.ユー・ガット・ミー・ロッキング
3.ロックス・オフ
4.ワイルド・ホーシズ
5.無情の世界
6.黒くぬれ!
7.ダイスをころがせ
8.スリッピング・アウェイ
9.悪魔を憐れむ歌
10.スター・スター
11.恋をしようよ
12.ストリート・ファイティング・マン
13.ギミー・シェルター
14.ホンキー・トンク・ウイメン
15.サティスファクション
16.ジャンピン・ジャック・フラッシュ
ディスク:4
1.スタート・ミー・アップ
2.リヴ・ウィズ・ミー
3.ネイバーズ
4.ハンド・オブ・フェイト
5.ノー・エクスペクテーションズ
6.ウォリード・アバウト・ユー
7.ハートブレイカー
8.ストレイ・キャット・ブルース
9.ダンス (パート1)
10.エヴリバディ・ニーズ・サムバディ・トゥ・ラヴ
11.ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ
12.ゴーイング・トゥ・ア・ゴーゴー
13.あなたのおそばに
14.ビフォー・ゼイ・メイク・ミー・ラン
15.ラヴ・トレイン
16.リスペクタブル
17.ホンキー・トンク・ウィメン
18.ブラウン・シュガー
19.ジャンピン・ジャック・フラッシュ
バンド歴40年以上にもなるローリング・ストーンズの4枚組DVDライブという、超弩級作品が発表となりました。結成40周年となる2002年〜2003年のワールドツアーから、マディソン・スクウェア・ガーデン(ニューヨーク)、トゥィッケンナム・スタジアム(ロンドン)、パリ・オリンピアでのライブを収録しており、ステージの規模に応じた演奏や、演出を楽しむことが出来ます。
改めて紹介するまでもないメンバーですが、メンバー中3人は多分還暦越え。一般社会では定年で盆栽いじりか、役員室で居眠りのお年ですよ。それがメンバー揃って贅肉もなく、ステージを駆け回り、腰を振り振り、ポーズを付けてのピッキング、1時間をゆうに超えるスティックさばき。このように、彼らの「年」を意識して見て感心する部分も多いのですが、何より凄いのは「年」を感じさせないパワーと演奏、それに観客を楽しませたいというエンターテイメント精神でしょう。映像を見ていて気づくのは、ミックが時折喉を潤すため飲むミネラルウォーターです。以前なら当然アルコールだったはず。スターとしてステージに立ち続けるためなのか、健康管理も徹底しているようです。彼の上半身を見れば分かりますよね。加山雄三だって大分ふっくらしてますし、CMで見かけるジュリー(沢田研二)なんて、かつての面影はありません(^^;。スターであり続けるためには自己管理がいかに大切か、思い知らされます。

このワールドツアーは来日公演でも大いに盛り上がり、私も東京ドーム公演に行って来ました。

2003年3月15日於東京ドーム
その前が確か1998年ですから約5年ぶり4度目の来日。期待に胸を膨らませていたのですが、相変わらずの音響の悪さと、音量の低さにいささかガッカリしました。本作では、1万円というリーズナブルなお値段(ドーム公演は確か13000円位だったか)で、最高の音質と間近でのパフォーマンスを楽しむことが出来ます。

さてさて、映像の方を見ていきましょう。
ディスク1は、久しぶりにステージに立つまでのドキュメンタリーです。約3年ぶりのメンバー再開とツアーの発表、そしてロニー曰く「リハーサルのためのリハーサル」が始まり、ウォーミングアップを重ね、ライブの企画が進む過程を克明に記録しています。途中には初期の綺麗な映像も登場するのですが、細切れなのがとても勿体ない。どれもかつてのストーンズ映像(「63〜89」など)で見かけたものではありますが、DVDで再現して欲しいですね。
印象に残るのは、ミックのわがままによりステージのデザインがどんどん変えられていくところ。スタッフはあきれとも怒りとも付かぬ表情をするのですが、その時々、ミックが感じたことに対応しなければならない、と言うスタッフの掟を感じました。それと、アメリカのどこかだと思うのですが、「パレ・ロワイヤル」と言うところでのミニライブ。ライブハウスのような規模のシークレットライブですが、これを見れたファンはファン冥利に尽きたでしょうね。このライブでエンジンに火を付け、ギアを上げてボストンでの初日を迎える、と言った構成になっています。ステージでのサウンドチェックにおいて、ミックがキーボードを弾きながら「ウォーリード・アバウト・ユー」を歌う内、チャーリー、ロニー、キースの順でメンバーが加わるシーン、ここも印象的です。
ディスク1からのボーナス映像は4つあります。見物の一つはワールドツアー中の世界(日本、インド、ドイツ、スペイン、プラハ、ロンドン)の盛り上がり振りを映した「リックス・アラウンド・ザ・ワールド」。冒頭の環境保護活動に協力するストーンズ面々、時代も変わったものだと思います。それと日本公演時の映像も貴重ですね。特に武道館での演奏が彼らにとっても特別なものだった様なコメントをしているのですが、これは幻に終わった1973年の日本公演のことを言っているのでしょう。それと、このドキュメント映像を見ていて感じたのはリーダーであるミックの統率力。ストーンズが40年以上もバンドを続けてこれたのは、明確なリーダーがいたからだったんですよね。事実、ミックの統率力が落ちた80年代中期は解散の危機にあった訳ですが、ミックというリーダーがいて、メンバー各個に明確な役割がある、これが巨大企業ローリング・ストーンズ繁栄の源と言うことですね(^^;。ボーナス映像の内もう一つの見物は「ブートレグ」と銘打ったライブ映像です。7曲ありますから、これだけで本来は作品になっちゃうんですが。。ここでの聴きものはやはり私も大好きな「ビースト・オブ・バーデン」。ファルセットも交えながらセクシーに歌うミックに、フィーリング重視で絡み合うキースとロニー、それらを束ねるかのようなチャーリーのドラム、素晴らしいです。ブルースバンドとしての面目躍如たる「ロック・ミー・ベイビー」におけるキースのリードも要チェック。ソウルも良く取り上げるストーンズですが、ここではオーティスの「お前を離さない」をピックアップ。もう一つ、ボーナス映像から「モンキーマン」、これは、メンバー全員を5台のカメラを使って撮影し、私たち視聴者自身がそれぞれの映像の中から見たいカメラを選択出来る言う、DVDならではの工夫。便利ではありますが、余り活用はしませんね。

ディスク2に行きましょう。ライブ作品としての本編はここからになる訳です(^^;。本当にもの凄いボリューム。マディソン・スクエア・ガーデンからの映像は全17曲。巨大アリーナらしい、スケールの大きい映像が展開されます。ステージ後方の巨大スクリーンも最大7分割で可動式という立派なもの。日本公演でも確かそうでした。そして観客を煽り、踊りまくるミック。若すぎる!声も良く出ているのにとにかく感心します。「ドント・ストップ」でのロニーのギターにくくりつけたカメラからの映像と言うのも、撮影技術の進歩を感じさせます。「モンキーマン」の後アコースティックセットが続き、前半のハイライトといえる「ミッドナイト・ランブラー」へ。ここでは特にミックの踊りやブルースハープ、力強いチャーリーのドラムが要チェック。ボビー・キースなどベテランを含めたメンバー紹介の後、キースのボーカルによる2曲、そして後半のヒット曲オンパレードで締めくくります。曲目の特徴としては、80年代から一曲も取り上げておらず、アルバム「レット・イット・ブリード」からの曲が3曲と重点的に取り上げられている点が挙げられます。本DVDセット共通の特徴とも言えますが。
彼らの場合、ヒット曲も多いし、本来の持ち味といえるブルースナンバーも非常に多い。本ディスクでは、「ミッドナイト・ランブラー」「キャント・ユー・ヒア・ミー・ノッキング」といったミステリアスなブルースナンバーを聴かせどころにし、周りをヒット曲で覆うという構成。飽きさせない工夫はいくらでも出来るという自信と貫禄を感じますね。それとチェックポイントとしては、ゲストにシェリル・クロウを迎えた「ホンキー・トンク・ウィメン」。セミヌードのジャパニーズアニメが話題になりました。ミックもかつてのようにステージを駆け回ることはなくなりましたが、シェリルを抱き寄せながら、スケベオヤジぶりを発揮しています(^^;。そして、今回のツアーの見せ物の一つである「Bステージ」と言われる、客席にせり出したミニステージでの演奏。本ディスクでは「イッツ・オンリー・ロックンロール」〜「ブラウン・シュガー」までです。気になるのはメンバー紹介のあと、キースが歌い出す直前に入るブーイングのような歓声なのです。まさかミックが去ってキース一人になる事への不満という訳でもないと思うのですが。。
アンコールは本DVDセット共通の「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」。キースの年がいもない(^^;かっこよさったらありません。それと、ボーナス映像では、ゲスト、シェリル・クロウへのインタビューが収録されています。

ディスク3はロンドン、トゥィッケンナムスタジアムでのライブです。幅の広いステージには独自のデザインが施されています。お金もかかってますね。ステージの隅から隅まで動き回るミックは、以前に比べればゆっくりしたペースか(^^;。
曲目の方ですが、1曲目がいきなりいつものラスト曲という演出は東京ドームと一緒です。じっくり聴かせる「ワイルド・ホーシズ」や60年代中期「ペイント・イット・ブラック」などは地元ゆえの古いファン向けなのでしょうか。前半のハイライトは「無情の世界」と「悪魔を憐れむ歌」、後半は「ストリートファイティング・マン」に「ギミー・シェルター」など聴かせどころは多いですが、「悪魔を憐れむ歌」が、上方で火を噴いたり、スクリーンに炎が映し出されたり(ここは確か日本公演にもありました)と演出は凝っているのですが、演奏自体は随分健全な印象があり、私的にはやや不満感が残りました。もっとヘビーで粘りのある演奏だったのでは。。本盤でのBステージは「スタースター」〜「ストリート・ファイティング・マン」まで。ここで聴かせるブルース「恋をしようよ」も本来もっとヘビーなのでは。どうしても音が拡散してしまうスタジアムゆえのハンディもあるのでしょうか。あるいは、スタジアムはもっと派手な曲で固めないと苦しいのかも。ただし、「ストリートファイティング・マン」の演奏は気合いが入っています。Bステージには豪華な演出が利きません。だからなのかどうかは分かりませんが、ディスク2よりも熱の入った演奏を聴かせます。
全体的には70年代中期以降〜80年代の曲がほとんどないのが特徴。「無情の世界」「悪魔を憐れむ歌」を軸に決して地味な選曲ではないのですが、本DVDセットの中では印象の薄い盤となりました。

ディスク4は、フランスはパリ、オリンピア劇場での演奏です。規模は日本で言うと武道館ほどでしょうか。ステージ後方のスクリーンとBステージがないのが他と異なります。曲目は60年代末年〜81年までの作品で固めています。1曲目は「スタート・ミー・アップ」。つかみのパターンも色々です。以下比較的地味めのナンバーが続くのですが、それほど規模の大きくないこのステージにはマッチした演奏となっています。「リブ・ウィズ・ミー」はアルバム「レット・イット・ブリード」からの曲ですからこのアルバムからは主要曲ほとんど出していることになります(採用されていないのは「ラブ・イン・ベイン」「ユー・ガット・ザ・シルバー」のみ)。その後アコースティックセットの2曲(ミックのキーボードによる弾き語りをチェック!)が続いた後、「ストレイ・キャッツ・ブルース」「ダンス」などの通好みしそうなナンバーが続きます。10〜13や15(オージェイズ?)のオールディズを取り上げているのも聴き所です。特に12は、以前のライブ盤でも取り上げていました。「リスペクタブル」以降はラストスパートと言うことで、他の盤に比べれば一般受けはしなさそうですが、サウンドのまとまりも良く、ある意味最も楽しめる盤と言えるかも知れません。ミック自身が撮影している映像も見物です。

ぶっ通して見ると丸一日位かかってしまう本作ですが、最も印象に残ったのはやはりミネラルウォーター(^^;。全編健全なんですよ。ストーンズのワールドツアーが、完璧にプロデュースされたビジネスであると言うことがよく分かります。そして、新曲1曲だけでもワールドツアー出来ちゃう強み。世界規模のベンチャーズと言ったところですが、ファンも別に新曲を待っている訳ではなくて、お馴染みのナンバーを決めてくれる彼らに酔いたいんですよね。ミネラルウォーターでは酔えないけど(笑)。

STEVIE RAY VAUGHAN 『Live At Montreux 1982,1985』

SONY MUSIC
MHBP 27-8
ディスク:1
1.Hide Away
2.Rude Mood
3.Pride And Joy
4.Texas Flood
5.Love Struck Baby
6.Dirty Pool
7.Give Me Back My Wig
8.Collins Shuffle


Interview
ディスク:2
1.Scuttle Buttin'
2.Say What!
3.Ain't Gone 'N' Give Up On Love
4.Pride And Joy
5.Mary Had A Little Lamb
6.Cold Shot
7.Tin Pan Alley (aka Roughest Place In Town)
8.Look At Little Sister
9.Voodoo Chile (Slight Return)
10.Texas Flood
11.Life Without You
12.Gone Home
13.Couldn't Stand The Weather
スティービー・レイ・ボーン(SRV)メジャーデビューのきっかけとも言えるモントルー・ジャズ・フェスティバルでのライブDVDが発売となりました。SRVのDVDは幾つか発売されていますが、これまでのものは実は全て輸入物です。国内盤の発売はこれが初めてです。ディスクは2枚で、1枚目がメジャーデビュー前の1982年。もう一枚が大成功を収めた後の1985年。特に1982年の方については、このステージでの演奏がデビッド・ボウイやジャクソン・ブラウンの目にとまり、ボウイの「Let's Dance」参加に繋がり、ひいてはメジャーデビューになったことが有名ですが、実は、観客には非難囂々だったことは、本作を手にするまで知りませんでした。この辺の事情はディスク1に収録されているメンバーやスタッフへのインタビューに詳しく述べられていますが、当日のステージはアコースティックなブルースが中心の日だったようです。そこにいわば「招かれざる客」として登場したものですから、観客は拒絶反応を示してしまったようです。
一方の1985年の方は、ファースト、セカンドアルバムと成功を収め、1985年のグラミー賞を受賞した後の出演と言うこともあって、観客の反応は全く異なり、SRVを盛大な拍手と歓声で迎えています。後方には立ち見客もいて、思うままにダンスを踊るなど、全身でバンドの演奏を楽しんでいる様子。SRVもホッとしたことでしょうが、DVDを見ている我々もほっと一息です。なお、この日のステージから数曲が後のライブ盤「Live Alive」に収録されているようです。

ではディスク1を見ていきましょう。塗装のはげたストラトキャスターが、彼がぽっと出の新人ではなく、既にキャリアを積んだミュージシャンであることを物語っています。いきなり始まるのがドライブ感も抜群のインストルメンタル「1」。かのブルースブレイカーズによる演奏が有名ですが、彼なりの解釈を見せています。続く「2」も汗がほとばしるようなインストルメンタル。ファーストアルバムに収録されているナンバーです。ちなみに、本作中「2」「3」「4」「5」「6」がファーストアルバム収録作です。ファーストアルバムを、彼らとしては雪辱の思いを込めて発表したことが伺えます。
で、問題の観客の反応ですが、「3」に入る頃にはブーイングが起きています。と言っても歓声を上げる客や、リズムに乗せて踊りを踊る客もいることが、映像を見ていると分かります。拍手が終わってもブーイングは続くという雰囲気。きつかったことは確かでしょうね。SRVはあたかも意に介さないように「3」へ。更にテンションの高い演奏が続きます。ハードブギーに乗せて繰り出す、コンパクトながらもツボを押さえたソロはステージ前半にもってこいの素晴らしい演奏です。続く「4」はディープブルース。ここでは彼の本領発揮といえるソロを聴かせます。ギターを背にソロを見せる後半では歓声も上がり、ようやく観客の心を捉えたかと思いきや、やはりブーイングが。。賛成票と反対票が半々といったところでしょうか。ストレートなエイトビートの「5」に続く「6」は再びのディープブルース。チョーキングを利かせたソロが素晴らしいのですが、相も変わらず聞き苦しいまでのブーイング。お構いなしに始める「7」はハイスピードなブギー。スライドを活用してテクニックを余すところなく披露します。この辺になるとブーイングを越えて罵声のような声も。止めてくれ(ToT)。ストラトを比較的新しいものに持ち替えて始めるラストのインストルメンタル「8」へ。そして最後に「サンキュー」とあいさつするSRVは、見方によってはこわばった表情とも言えます。かなりショックだったのでしょう。でも、このブーイングにめげない真摯な演奏があってこそ、その後の成功があったのだとも言えます。

次にディスク2の方ですが、まずは盛大な拍手にホッと胸をなで下ろします。SRVの衣装も随分派手になってすっかりスター然としています。ライティングもかなり派手に。演奏曲は2〜3枚目収録曲が多いですが、時期的には3枚目発表前のステージのようです。オープニングの「1」「2」はディスク1同様、インスト曲です。アップテンポなリズムに乗せて、軽快に早弾きを披露します。使われているギターも1982年のステージで使われたものと同じものと思われます。敢えてそうしたのかも知れませんね。「3」ではギターを持ち替え、一転ディープブルースを演じますが、ここでの激しい泣きのギターがまず一つの聴き所ですね。続く「4」では、1982年バージョンと比較してみて、「4」はやはりキーボードのリース・ワイナンスが参加していることがバンドサウンドに膨らみを加えていることがよく分かります。ドラムサウンドも音の取り方が違うのか、かなり派手に聞こえます。引き続きクールなナンバー「5」。後半は激しいカッティングで攻め抜きます。「6」〜「8」の3曲はジョニー・コープランドとの共演。事前打ち合わせもなかったようですが、先輩ブルースマントとの共演を楽しんでいる雰囲気ですね。そして客席の「Please play Voodoo Chile」というプラカードを映した直後の「ジミーに」との一言に続き始まる「9」。ニクイ演出ですね。本作中最大のハイライトと言える演奏です。本日3本目のギターを攻め立てる様を存分に味わえます。そしてクライマックスとなる「10」ではディスク1の演奏と同様、背中弾きを披露します。そして、「11」〜「13」はアンコールとなります。モントルーでの因縁について語った後、新曲となる「11」「12」、そしてセカンドアルバムからの「13」へ続きます。この辺はアンコールトラックのせいか、2階席方面から向けたカメラ一台のみの映像のため、映像面では今ひとつですが、ジャジーな「12」など、SRVの新境地として受け止められたのではないでしょうか。2度目のアンコールである「13」前には盛大な拍手と歓声に迎えられているのですが、SRVもきっと溜飲を下げたことでしょう。「13」は途中からプロモーション映像に移ってしまいます。単調な映像を続けるよりは、と言う配慮なのでしょうが、やや残念です。ラスト曲としてはどうかと思う選曲ですが、演奏の方はラスト曲に相応しい熱いものです。

こうして1枚目、2枚目を比較して聴いてみると、極めてタイトな演奏を聴かせる1枚目、キーボードも交え、演奏にも余裕感が感じられる2枚目と、この3年の間に彼とバンドが大きく成長したことが感じられます。この間のちょうど中間期と言えるDVD「ライブ・アット・エル・モカンボ」の方がスピード感や鬼気迫る演奏と言った点で聴き所は多いかと思いますが、本作は、何と言ってもSRVと言うブルースミュージシャンの苦悩の時期と、成功を収めた時期におけるドキュメンタリーであると言う点で、極めて貴重な映像であると思います。改めて、アーティストにとって、「観客に受け入れられる」事がどれだけ重要なことであるか、つくづく思い知らされた作品とも言えます。

THE OLD GREY WHISTLE TEST

IDP 00978
1.Under My Wheels ('71) / Alice Cooper
2.Tiny Dancer ('71) / Elton John
3.We Gotta Have Peace('72)/Curtis Mayfield
4.Political Science ('72) / Randy Newman
5.Ain't No Sunshine ('72) / Bill Withers
6.Hands Off ('73) / Rory Gallagher
7.Stir It Up ('73) / The Wailers
8.Do The Strand ('73) / Roxy Music
9.Frankenstein('73)/The Edger Winter Group
10.Upon The My O My('74)/Captain Beefheart
11.Rock 'N' Roll Doctor ('75) / Little Feat
12.Stand By Me ('75) / John Lennon
13.Freebird ('75) / Lynyrd Skynyrd
14.Amarillo ('76) / Emmylou Harris

15.Too Long At The Fair ('76) / Bonnie Raitt
16.Tom Traubert's Blues ('77) / Tom Waits
17.Psycho Killer ('78) / Talking Heads
18.Statue of Liberty ('78) / XTC
19.(I'm Always Touched By Your)Presence Dear ('78)/Blondie
20.American Girl ('78) / Tom Petty & The Heartbreakers
21.Can't Stand Losing You('78)/The Police
22.Rosalita ('79) / Bruce Springsteen
23.I'm Bored ('79) / Iggy Pop
24.Message To You Rudi('79)/The Specials
25.Smash It Up/I Just Can't Be Happy Today ('79) / The Damned
26.Rock 'N' Roll High School ('80) / The Ramones
27.I Will Follow ('81) / U2
28.Pretty Persuation ('84) / REM
1971〜1987年の間、イギリスBBC2で放映されていた人気音楽番組が『The Old Grey Whistle Test』です。数多くの新人アーティストが、この番組からイギリスTVデビューを果たした伝説的番組なのだそうです。この番組の中から演奏シーンを抜き出してDVD一枚にまとめたのが本作。オムニバスものとしては近年まれに見る内容の濃い作品なのではないでしょうか。イギリスの番組ですが、アメリカのアーティストも登場します。とにかくビックリしてしまうのは、ほとんどの映像が生演奏であること。曲毎にコメントが入っていて、当時の裏話などを知ることが出来ます。
まず始めに登場するのは「1」アリスクーパー。グラムロックしていますが、どちらかというとスレイドの雰囲気に近いというか、あまり美しくないというか(^^;。グラムロックにも何種類かあったことが分かります。続くのが「2」エルトンジョン。「3」は映像としてはひょっとすると初めて見るカーティス・メイフィールド。バンド構成も分かって、大変貴重なのではないでしょうか。特にリードギターが白人系なのに驚きました。演奏の方はこのまま延々続いて欲しいと思うような、ソウルフルなもの。「4」はこれも映像としてはほとんど見る機会のないランディ・ニューマン。得意のピアノ弾き語りですが、服装のセンスがない(^^;。「5」は「Just the 2 of us」位しか知らないビル・ウィザース。アコギの弾き語りというのが意外です。静かな曲が2曲続いたところでハードブギーの「6」ロリー・ギャラガーへ。「7」は、多分初めて見るボブ・マーリーのスタジオライブ。ボーカルとコーラス(女性コーラスではないんですけど)のハーモニーが素晴らしい。「8」のロキシー・ミュージックで、キーボードを担当するやたら派手な衣装の人物はやはりブライアン・イーノなんでしょう。みんな勝手な衣装を着ている中、一人だけジャケットに身を固めるブライアン・フェリーに注目。「9」は、携帯型キーボード(正式にはなんて言うんでしょう)を自在に弾き、後半はサックスに持ち替えるエドガー・ウインターです。終いにはドラムまでたたき出します。ジョニー・ウインターの弟ですが、やはり金髪、と言うか真っ白。映像と言いサウンドと言い、いやはや時代を感じさせます。次は又珍しいキャプテン・ビーフハート。結構カメラを意識した振る舞いなのが印象的ですね。曲の方は中々ファンキーなナンバーです。「11」は、健在なるローウェル・ジョージを拝めるだけでありがたいと言えますが、スライドのソロが堪りません。「12」で、初めてプロモーションビデオとなります。さすがにジョンの生出演という訳にはいかなかったようで。「13」は、本作中最大のハイライト言えるレイナード・スキナードのフリーバード。当然スタジオライブですが、観客もいて盛り上がります。延々続くギターソロの熱いプレイを堪能しましょう。ただここ、ギターは3人いたと思うんですけど。。この後は「14」エミルー・ハリス、「15」ボニー・レイットとカントリー系が続きます。ボニー姉さんは若くて綺麗ですね。続いて「16」は、私は初めて見るトム・ウェイツ。だみ声ですが味のあるボーカルですね。次からはニュー・ウェイブが続くのですが、まずは「17」トーキング・ヘッズのお馴染みサイコキラー。演奏の方は今ひとつのように感じますが、とにかく貴重な映像といえます。貴重さではそれ以上なのが次の「18」XTC。私は約25年XTCを聴いてきましたが、映像を見るのはこれが初めてかも知れません。しかもファーストアルバム当時の映像と来たらもう超貴重です。この映像を見れば、XTCはパンク・ロックを遙かに超える音楽的素養を持ち合わせていたことがよく分かりますね。続く「19」ブロンディは若き日のデボラ・ハリーを押さえておきましょう。「20」は、トム・ペティ。78年というと、サードアルバムで大ブレイクする直前ですね。続いて、司会役を務めていた女性のコメントが付いた後、「21」ポリスです。ポリスは来日時の口パクによるいい加減なテレビ出演が印象に残っているのですが、ここでは生演奏、と言う訳でアンディ・サマーズとスチュワート・コープランドの演奏に注目です。次の「22」ブルース・スプリングスティーンはどんな映像で登場かと思いきや、プロモーションビデオ(ライブ映像)、残念です。ブルース・スプリングスティーンがここに挟まることに違和感を感じつつ、次の「23」へ。こちらはまたまた貴重なイギー・ポップ。いい体してますよ(^^;。「24」はスペシャルズ。スカを楽しそうにやっているのですが、肝心のボーカルメンバーが余り楽しそうでないのが残念か。「25」は、どパンクのダムド。ボーカルの人がパンクファッションでなかったり、ドラムが普通のオヤジっぽいのが意外です。音楽的にはともかく、映像としては貴重なのではないでしょうか。2曲目ではギタリストがキーボード弾きだしたはいいけど何か落としてしまったり、ボーカルは本(キーボードの取扱説明書か?)を持ち出して何やら読みふけったりと訳が分かりません。最後はドラマーがドラムセットをぶっ壊してパンクなエンディングです。客もいないのにねぇ。DJもあきれてます。パンクが続きます、「26」は正統派ラモーンズ。ストレートなロックを聴かせます。本作での幾つか目のハイライトといえる「27」はなんとU2です。初期のパンキーな演奏が見物。そしてラスト「28」はREMが締めます。イントロは「ムーンリバー」の替え歌ですか?さすが、新人とは思えぬ貫禄を感じさせます。いやはや、凄い番組があったものです。おまけにはエルトン・ジョン、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ(かなりラリってる??)、ロバート・プラント、ジョン・レノン、ブルース・スプリングスティーンのインタビューが収録されています。特に注目すべきはジョンです。当時の日常や、元ビートルズ、特にポールに対する思いなどが語られています。
何でも本作の輸入バージョンは2枚組だそうですが、恐らく日本のDVD機器では見れないのでしょうね。いずれにしてもこの番組の中にはまだまだ貴重な演奏があるのでしょうから、続編を是非是非期待したいものです。

RANDY NEWMAN 『The Randy Newman Song Book Vol.1』

WPCR-11748
1.ロンリー・アット・ザ・トップ
2.神の歌
3.ルイジアナ 1927
4.レット・ミー・ゴー
5.レッドネック
6.アヴァロン
7.リヴィング・ウィズアウト・ユー
8.悲しい雨が
9.帽子はそのままで
10.この世は金次第
11.愛するマリー
12.ホエン・シー・ラヴド・ミー
13.セイル・アウェイ
14.ザ・ワールド・イズント・フェア
15.ポリティカル・サイエンス
16.ザ・グレイト・ネイションズ・オブ・ヨーロッパ
17.嵐の前のドイツにて
18.ラグタイム
ランディー・ニューマンの久々のニューアルバムは、なんとピアノ弾き語りによるセルフカバーアルバムとしての登場と相成りました。1998年の特大ボックス、1999年の「バッドラブ」と相次ぐ新作の後しばらく音沙汰がありませんでしたが、ライナーによれば2002年には映画主題歌がアカデミー賞最優秀主題歌賞を受賞していたようです。作曲の腕は衰えてないようですね。
では、各曲目のオリジナルアルバムをご紹介しておきます。
1作目「ランディー・ニューマン」より「7」「8」
3作目「セイル・アウェイ」より「1」「2」「9」「13」「15」
4作目「グッド・オールド・ボーイズ」より「3」「5」「11」
5作目「小さな犯罪者」より「17」
6作目「ボーン・アゲイン」より「10」
9作目「バッドラブ」より「14」「16」
「4」「6」「12」「18」は映画の主題歌、挿入歌の再録となります。

全編ピアノ弾き語りの本作ですが、元々ランディー・ニューマンのステージはピアノの弾き語りです。そう言う意味では、拍手や歓声のない(スタジオ)ライブと受け止めることも出来るかも知れません。いずれにしても、デビュー以降、彼が何度も歌い続けてきたナンバーが披露されているのですが、曲の良さと、濃厚なボーカル故、自然にひき込まれていくものがあります。彼とは切っても切れない絶妙のコンビネーションを見せるピアノが演出する、全編に漂う独特な寂寥感は、ランディー・ニューマンならではのものです。本作はVol.1とのことですので、恐らくは今後も続編が登場するものと思われます。本作には収録曲がないアルバム(2,7,8作目)もあり、こうしたアルバムからの作品が取り上げられるのではないかと思われますが、本作は約35年にわたる彼のキャリアを代表する曲を収録していると言うことで、ベスト盤的な存在とも言えます。
Vol.2,3も楽しみですが、約6年遠ざかっている、フルバンドによる新曲集も期待したいですね。

JOHN LENNON  『Rock'n'Roll』

TOCP-67500
1.Be-Bop-A-Lula
2.Stand By Me
3.Medley: Rip It Up / Ready Teddy
4.You Can’t Catch Me
5.Ain’t That A Shame
6.Do You Wanna Dance
7.Sweet Little Sixteen
8.Slippin’ And Slidin’
9.Peggy Sue
10.Medley: Bring It On Home / Send Me Some Lovin’
11.Bony Moronie
12.Ya Ya
13.Just Because
-----Bonus Truck------
14.Angel Baby
15.To Know Her Is To Love Her
16.Since My Baby Left Me
17.Just Because (Reprise)
本作は、ジョン・レノンが1975年に発表したロックンロールのフルカバーアルバムです。この頃のジョンと言えば、オノ・ヨーコとの別居生活を続け、かなり荒れていた時期です。この時期にこのアルバムを出したのは、恐らく荒れた生活の中でメンタリティが低下していたという背景があったのだと思います。
ロックンロールカバーアルバムと言っても、自らの原点に返る、と言う類のものではなくて、酒とパーティに明け暮れる日々、今で言うならカラオケ気分で歌ったらみんなに受けたので、じゃあレコーディングだ、と言うような、勢いでやっている雰囲気があります。中には原曲をこねくり回して、出来も今ひとつというものも。ま、それも今にしてみれば、と言う話。当時は、発売前に、後述する「4」の作品を管理する人物が本作のマスターテープを元に「ROOTS」という作品を販売してしまったり、フィル・スペクターがマスターテープを持ち出して失踪したりと、様々なトラブルに見舞われた挙げ句にようやく発売されたこともあってか、「ロックンローラー・ジョンのロックンロールアルバムだ!」と驚喜したものです。
ライナーのヨーコへのインタビューを読んでいて驚いたのですが、この後のエピソードとして有名な話がありまして、本作の後に出された「ウオール&ブリッジズ」で競演したエルトン・ジョンとジョンが、ジョンの「夜を突っ走れ」が全米1位になったらステージで競演しようと約束し、それが実現したエルトンのステージで、しばらく別居していた二人が久しぶりに再会したという美談なのですが、実はちょくちょく二人は会っていたようですね。ヨーコへのインタビューによれば、ジョンは本作の制作で色々悩みを抱え、ヨーコに相談をしたようです。寂しさを紛らわすためだったのかも知れませんが。。
今回の再発に際して、リマスター&リミックスが施されました。フィル・スペクター得意のエコーのせいか元々やや平板な印象のあったサウンドがより立体的になったように思います。一つ一つの音が浮き出ているように感じるのです。それと、イントロやエンディングでジョンによるカウントやかけ声などがさりげなく加えられていて、より「ライブ感」が強まったと言えるかも。
収録曲はいずれもロックンロールのスタンダードと言える有名曲ばかり。マニアックな選曲でないところがいいです。中でも有名なのは「2」です、映画「スタンド・バイ・ミー」で原曲がリバイバルヒットするまではむしろジョンのこのバージョンの方が知られていたのではないでしょうか。あるいは別居中のヨーコのことを歌ったのではないかと思っています。「カム・トゥゲザー」が盗作問題となったことに対して、チャック・ベリーに対する返礼として取り上げたのが「4」。他にも多くのミュージシャンが取り上げる「5、6、7」、ソウルの「10」など聴き所は多いですが、今回の目玉は「14〜17」のボーナストラックです。「14、15」は以前に「MENLOVE AVE」に取り上げられていたものですが、「16、17」は今回初登場。「15」は未だに正式発表されていない「Be my baby」(ROOTSに収録)に非常によく似たアレンジですが、フィル・スペクターに敬意を表する意味で収録されています。「16」は本作にしては珍しくバックに女性コーラスが入ります。プレスリーの「56」というアルバムで聴くことができる曲ですが、本作はジョンの愛するロックンロールナンバーが歌われているにもかかわらず、プレスリーのオリジナルナンバーが一つもないというのが以前から気になっています。「3」はある意味プレスリーメドレーなんですけどね。「17」でのジョンは泥酔状態ではないかと思われます(笑)。
全体的に出来不出来の差はあるものの、いつも赤裸々なジョンが、酒まみれな日常をオールディズに乗せて歌ったアルバムといえる本作は、ジョンのファンにとっては又格別な思い入れがある作品といえます。今回リマスターによって音質も格段に向上しました。もう、前のバージョンは聴けません(^^;。
JOHN LENNON  『John Lennon・Acoustic』

TOCP-67483
1.労働階級の英雄
2.ラヴ
3.ウェル・ウェル・ウェル (※)
4.ルック・アット・ミー
5.ゴッド (※)
6.母の死 (※)
7.冷たい七面鳥(※)
8.ラック・オブ・ジ・アイリッシュ (ライヴ)
9.ジョン・シンクレア (ライヴ)
10.女は世界の奴隷か?
11.ホワット・ユー・ガット (※)
12.ウォッチング・ザ・ホイールズ
13.愛するヨーコ (※)
14.リアル・ラヴ (※)
15.イマジン (ライヴ)
16.イッツ・リアル
※は初登場音源
「ロックンロール」の再発に併せて、「ロックンロール」と対比するように発売されたのがアコギのみで歌われた曲ばかりを集めた本作。1998年に発売された「ジョン・レノン・アンソロジー」に、未発表音源を加え、1970年〜80年頃のジョンの弾き語りを紹介しています。
かつて、「プレイヤー」という雑誌があり、毎月楽器別の人気投票が行われていました。ジョンが登場するのはいつも「ピアニスト」のコーナーだったのを私は「なんでギタリストではないのかなあ」と思ってみていました。それだけ「イマジン」のイメージが強烈だったと言うことなのでしょうか。元々ジョンは表現力に優れたギタリストで、例えば「オール・マイ・ラヴィング」のリズムギター、「ジュリア」の弾き語り、「オクトパス・ガーデン」「ゲット・バック」のソロなどでの名演がよく知られるところです。あるいはビートルズ解散後、もっぱら自らがシンガーとして全面に立つこととなったため、プレイヤーとしてバックに立つことがなくなった故、と言うことなのかも知れません。

本作のコンセプトは「アコギ」です。歌詞カードにもコードを付けたり、国内盤にはピックを付けたりと、徹底されています。アコースティックナンバーに絞ることもなかったのでは、と思いますが、もう一つのコンセプトが「リハーサル」で、リハーサルが基本的にアコギ一本だったからなんでしょうか。
「2」はピアノレスバージョン。ジョンが弾き語りで歌う姿が目に浮かぶようですが、演奏としては、フィル・スペクターによる幻想的なピアノが収録されたオリジナルバージョンの方がやはり素晴らしい。「3」のオリジナルは突き刺すようなギターが特徴ですが、それをそのままアコギでやっています。「5」は、録音状態が今ひとつですが、イントロでジョンが曲の紹介をしています。まるで神の啓示を受けてこの曲を書いた、と言わんばかりです。やはり音質が今ひとつな「6」ですが、寂しさを強調するためにあえてこうした録音方法をとっているのかも知れません。ボーカルもギターも頼りなく寂しげです。「7」はビブラートがかかったようなボーカルがどうしても不快な一曲。ライナーによれば「津軽三味線のようなギター」。全く持ってその通り。「11」はかき回すようなギターが特徴。ギターを自在に扱うジョンに、正にギタリストジョンの魅力を感じます。「13」は「バディ・ホリーばりのギター」(ライナー)のイントロが全て、とも言えます。こういうイントロで、正式バージョンもやって欲しかった。「14」は、ビートルズの「新曲」としてヒットしましたが、こうしてシンプルに弾き語りを聴く方がいいようです。アルバム「イマジン」(同名映画のサウンドトラック)にも似たバージョンが収録されていますが、本作のバージョンの方が声質が悪い代わりに収録時間が長い。

と言うことで、全てリハーサルトラックであり、音質も今ひとつで、作品としての完成度を問うべき作品とは言えませんが、今となってはジョンの新しい声を聴けるだけでもありがたい。前述の通り、本作の日本盤にはおまけとしてギターピックが付いています。日本盤を買わせたいのはいいけど、他が撤退し始めているCCCDを、いい加減止めることの方が先決だと思いますよ。>東芝さん。

BRIAN WILSON  『Gettin' Over My Head』

WPCR 11886
1.How Could We Still Be Dancin' (Elton John)
2.Soul Serchin' (Carl Wilson)
3.You've Touched Me
4.Gettin' In Over My Head
5.City Blues (Eric Clapton)
6.Desert Drive
7.A Friend Like You (Paul McCartney)
8.Make A Wish
9.Rainbow Eyes
10.Saturday Morning In The City
11.Fairy Tale
12.Don't Let Her Know She's An Angel
13.The Waltz
1998年の「イマジネーション」発売以来のブライアン・ウィルソンの活躍にはめざましいものがあります。その後のライブツアー、そしてライブ盤の発売、「ペットサウンズ」のライブ盤発売等々。それ以前の活動に比べれば別人のようです。ライブツアーは私も行きましたが、ややぎこちなさはあるものの、若いバックにも支えられ、名曲の数々を惜しげもなく披露する姿に完全復活を確信したものです。
本作は「イマジネーション」以来約6年ぶりとなる新作です。「イマジネーション」の前作が1988年ですから、間隔は随分縮まったと言えます。本作の特徴は二つあります。一つは新曲に加え、過去の未発表曲を題材に完成させていること、もう一つは豪華ゲストミュージシャンです。
まず、「3」は86年の音源、「8」「9」「11」「12」「13」が89年の音源をベースにしているようです。又「2」「4」「6」「10」は95〜96年頃の音源。残る「1」「5」「7」が豪華ゲストとの共演と言うことになります。と言う訳で全体的な統一感に欠けるのは否めないところでしょう。しかし、ビーチボーイズ時代から彼が得意としてきたスタジオ技術が披露されているという点で、楽しみの多い新作と言えます。バックを勤めるのはジェフリー・フォスケットやワンダーミンツと言ったライブツアーを共にした面々。そしてジャケットは「SGTペパーズ」のジャケットで知られるピーター・ブレイク氏。この人、確か「ドウ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」のジャケットも担当したと思いますが、2004版の「ドウ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」も担当したのでしょうか。
さて、収録曲の方ですが、「1」はいきなりエルトン・ジョンとの共演。もろビーチボーイズのイントロに否が応でも盛り上がります。エルトンのボーカルも楽しげ。「2」はビーチボーイズのバラッドを聴くようですが、カール・ウィルソンのボーカルにブライアンのコーラスと演奏をかぶせているのですから当然と言えば当然。カール・ウィルソン健在の96年頃、ビーチボーイズの曲として録音されたものが元になっているようです。「3」は一転して雰囲気が変わります。演奏自体が86年のものと言うことなので止むを得ないところ。「4」は「ペットサウンズ」のサウンドにも近い演奏。コーラス主体の曲が2曲続きます。続く「5」はクラプトンのギターや効果音がどうしてもアルバム全体のイメージと合わない気がします。「6」はイントロのドラムと言い、ピアノと言い、ボーカル・コーラスと言い、全てがビーチボーイズ。ポールとの共演となる「7」はチャリティコンサートにおけるポールとの共演後に作られたもののようです。かつてはビートルズとビーチボーイズとしてライバル関係にあった二人。「ラバーソウル」「SGT.Peppers」などのビートルズ作品から受けるプレッシャーに、自らを駄目にまでしてしまったブライアンが、今こうして友を感謝する歌を歌うということには感慨もひとしおです。「8」は再びビーチボーイズ、「9」は「ペットサウンズ」の雰囲気を感じさせますが、やや未完成な印象あり。「10」以降は前作に近いオーソドックスなイメージ。

このように全体的にビーチボーイズの雰囲気を感じさせる構成ですが、過去の未発表曲が元になっているだけに統一感には欠ける内容となっています。ボーカルもやや練れていないと感じられることも。前作以降、ライブやワンダーミンツらとの活動を通じ、ビーチボーイズ路線に自信を強めたことが作風にも現れていると思いますが、出来ることなら新曲で固めて欲しかったという気はします。しかしながらブライアンならではの曲が楽しめるのも本作ならでは。そう言う意味で考えると前作はフツーのアルバムでした。本作に続く話題作「スマイル」も発売になっており、ブライアンの活動はますます活発になりつつあるようです。

JONNY LANG  『Long Time Coming』

UICA-1018
1.Give Me Up Again
2.Red Light
3.Get What You Give
4.The One I Got
5.Touch
6.Beautiful One
7.If We Try
8.Goodbye Letter
9.Save Yourself
10.To Love Again
11.Happiness and Misery
12.Hide Your Love
13.Dying To Live
14.Long Time Coming
------Bobus truck-------
15.Livin' for the City
2003年には既に本作の輸入盤が販売されていて、買おうかどうしようか迷っているうちに国内盤が出てくれました。前作は1998年、本コーナーでも取り上げている通りです。約5年ぶりのサードアルバムと言うことになります。御年22歳、いやはや若い!この5年間どういう活動をしてきたか、詳しいことは分かりませんが、彼が積み上げてきたキャリアの蓄積が本作に現れていると言えるのではないでしょうか。前作ではブルースにソウルフィーリングを加え、時折ファンキーなサウンドも交え、歌心を聴かせるアルバムとなっていましたが、本作はその路線を更に一歩進めるものとなっています。ギタリストとしての姿から、シンガー・ソングライターとしての姿を一層鮮明にした作品と言えるのではないでしょうか。

「1」は、ソフトに始まってハードに展開するという、言わばロックの類型に当てはまるような展開。この辺が既にブルースに拘らない柔軟な姿勢を感じます。「2」は、他人の作品のようですが、非常にポップな出来。新境地と言えますが、前二作迄の展開を期待するファンには不満かも。「3」はソウルフィーリング溢れる曲です。「4」はアコースティックギターを軸に、ハンドクラッピングやコーラスを交え、スタイリッシュ且つポップな展開を見せる曲。新しいファンを掴むがやはり古いファンが逃げるかも。。。「5」はサンタナの「Europe」を思わせるイントロで始まり、どことなくレニー・クラビッツのファーストアルバムに似た曲調を持った曲です。ここで見せるギターソロは良く泣いていますが、従来のように満を持して登場と言ったようなアピール度の強いものではなく、あくまで曲に彩りを添えると言った類のもの。「6」に至っては、タイトルに象徴されるようないかにもバラードらしい曲。曲作り、歌共に上達したなあと言うことを実感します。一人で付けているコーラスも美しく、本作を代表する名曲と言えます。「7」は、ファンキーなリズムに乗せてソウルフルなボーカルが魅力です。ギターソロはここまでで一番ハードと言えるもの。「8」で又スローバラードに転じます。「6」同様ジョニーのボーカルを堪能しましょう。「9」はミステリアスなギターで始まる神秘的な雰囲気を持った曲。アレンジの幅が広がったことを感じさせます。「10」はシンプルなアコースティックギターのタッチが魅力的な曲。中盤のスライドギターなど、やはりアレンジに工夫が見られます。「11」は極めてオーソドックスなロックで、印象はやや薄いか。ブルースハープでスティーブン・タイラーがゲスト出演しています。「12」はすするようなボーカルが堪らない作品。ライブではファンとの合唱間違い無しか。「13」は、ジョニーのボーカリストとしての魅力を堪能出来る一曲。アレンジもソウルそのもの。たまたま本コーナーで紹介した「THE OLD GREY WHISTLE TEST」にも登場したエドガー・ウインターの作品です。「14」は本作のタイトルにもなっていますが、本作ではもはや唯一とも言える、ミシシッピブルースを地でいっているような「どブルース」。最後の最後にどブルースを持ってくるなんて今ひとつ意図がつかめませんが(^^;。「15」はボーナストラックで、どこかで聴いたことがあると思ったらスティービー・ワンダーのカバーらしいです。ソロの方は保守的なファンを納得させるものと言えるかも。

このように、本作にファーストアルバムのブルースを期待したら、ガッカリ来ます。ボーカルに軸足を置き、ある意味バラエティに富んだサウンドが展開されており、一面だけを捉えると彼らしさが見えにくくなったとも言えるかも知れません。しかし、私のように彼の歌心に惹かれるファンにとっては、曲の良さも相まってとても魅力的な作品と言えます。次作以降、ギターの影がこれ以上薄くなったら心配ですが、更なる成長を期待したいですね。

AEROSMITH  『Honkin' on Bobo』

SICP 566-7
1.Road Runner
2.Shame, Shame, Shame
3.Eyesight To The Blind
4.Baby, Please Don't Go
5.Never Loved A Girl
6.Back Back Train
Member
7.You Gotta Move
8.The Grind
9.I'm Ready
10.Temperature
11.Stop Messin' Around
12.Jesus Is On The Mainline
------Bobus truck-------
13.Jaded
前作が2001年の「Just push play」、それから約3年ぶりとなる新作は、言わば私の期待に見事応えたと言える、シンプル且つストレート、収録時間45分にも満たないジャストサイズなロケンロールアルバムと言えます。そうそう、こんなアルバムを久しぶりに聴きたかったのよ。前作のライナーを見ていただければ分かる通り、一作ごとに完成度と密度の向上する彼らの作品を聴くに付け、やや過剰感を感じていた私としては、初期の彼らを彷彿とさせる、勢い重視のサウンドを聴きたいなと思うようになっていたのです。本作は全編がブルースのカバーです。言わば、ジョンの「ロックンロール」、ポールの「ラン・デビル・ラン」同様、温故知新ものと言えましょう。プロデュースにも初期のエアロサウンド立役者と言えるジャック・ダグラスを起用し、一気に聴かせる魅力に満ちた作品となっています。
ジャケットはシンプルにブルースハープと口紅。このブルースハープは、初回限定盤には実物(吹けるかどうかはよく分かりませんが(^^;)も付録で付いています。付録と言えば、国内盤限定のボーナストラック「13」はいらなかったかなあ。
曲の方ですが、ブルースのカバーと言っても、ブルースをロクに知らない私にはほとんどが初耳曲。知っているのは「4」「7」「9」のみという有様です。そう言う意味でも、ほとんどが彼らの新作としても聞こえてしまうと言うお得さがあります。(^^;
さて、「1」ですが、こんなに楽しい曲何で今まで知らなかったんだろうと言う位シンプルでワイルドなどロケンロール。途中の「エイント・ザット・ア・シェイム」に似た展開も楽しいことこの上なし。「2」はアップスピードに決めます。これ又実にシンプル且つオーソドックスなロケンロール。「3」はブルースハープの魅力全開のブギー。「4」は私的には「ゼム」バージョンが大好きな作品。エアロスミスには悪いけど、この曲に関してはゼムに負けてます。「5」は、ここで一旦スピード落としておきましょうね、と言った感じのバラードです。アレサ・フランクリンの出世曲とのこと。成る程と思わせる雰囲気を持っています。スティーブン・タイラーの表現力に脱帽です。「6」はジョー・ペリーのボーカルによるスローブルース。コーラスを付けている女性は「トレイシー・ボーナム」と言う人。「7」はストーンズのカバーが有名ですが、エアロバージョンも中々ワルそう且つヘビーでいけます。「8」はハチロクビートでギターがビートルズの「I want you」のようですが、新曲です。この辺に新曲を挟むと言うのも妙ですね。「9」は曲を聴くまで気が付きませんでしたが、ポール・ロジャースの「マディ・ウオーターズ・カバー・アルバム」に収録されている曲です。こちらもかなりヘビーなアレンジ。スティーブン・タイラーのしゃくり上げるボーカルがいいですね。「10」は再びブルースハープがリードを取るヘビーなブギー。「11」はジョー・ペリーがボーカルを務めるフリートウッドマックの作品。ステージでも良く歌われる曲らしいですが。確かにライブ感に溢れる作品と言えます。ここでもやはりスティーブンのブルースハープが聴きもの。ラスト曲と言える「12」はドブロをメインにあしらい、女性ボーカルも交えゴスペル風に聴かせるナンバー。神とブルースへの感謝を込めた作品で幕を閉じます。そう言った意味でもボーナストラックは野暮。やはり本作はここで終わらせないとね。

THE BEATLES  『Ed Sulivan Show』
《Disc: 1》
○オール・マイ・ラヴィング
○ティル・ゼア・ワズ・ユー
○シー・ラヴズ・ユー
○アイ・ソウ・ハー・スタンディング・ゼア
○抱きしめたい
(1964年2月9日放送)

○シー・ラヴズ・ユー
○ジス・ボーイ
○オール・マイ・ラヴィング
○アイ・ソウ・ハー・スタンディング・ゼア
○フロム・ミー・トゥ・ユー
○抱きしめたい
(1964年2月16日放送)
《Disc: 2》
○ツイスト・アンド・シャウト
○プリーズ・プリーズ・ミー
○抱きしめたい
(1964年2月23日放送)

○アイ・フィール・ファイン
○アイム・ダウン
○アクト・ナチュラリー
○涙の乗車券
○イエスタデイ
○ヘルプ!
(1965年9月12日放送
あれから40年。。。
ビートルズのアメリカ初上陸にして、アメリカ制覇を象徴するステージとなった「エド・サリバン・ショー」がほぼ完全な形で再現されました。今まで何度か公開されてきた「エド・サリバン・ショー」ですが、本作は正に決定盤といえます。なぜなら、より鮮明になった映像やビートルズの音源はむろん、他のゲスト達やCMなどを含めた番組のほぼ全てが再現されているからです。我々自身がこの頃テレビで見ていた視聴者になりきることが出来るのです。これでようやく「エド・サリバン・ショー」がどういう番組だったのか、その全貌を我々も知ることが出来るようになりました。歌や、演劇、物まね、手品、コント、コメディ、アクロバット、有名スポーツ選手ゲストなど楽しみが満載の、1時間にわたる正統派総合バラエティーショーだったんですね。見ていて特に感じるのが、バックの演奏がしっかりしていること。各ゲストの演技に演奏を付けているのですが、全てぴったり合っています。どう考えても別録音とは思えませんので、ステージ下かどこかで演奏していると思うのですが、見事です。こうした完璧なプロデュースがこの番組を長寿番組たらしめたんですね。

さて、それではビートルズ初登場の1964年2月9日から見ていきましょう。この日の全米フィーバー振りは歴史的事件と言え、色々な形で語り継がれていますのでここで多くを語る必要はないでしょう。一つだけ挙げておきたいのは映画「抱きしめたい」です。1982年頃の映画でまだDVDにはなっていないと思います。ビートルズが全米を湧かしたこの日を、熱狂的なファンの行動を通して面白おかしく、そしてちょっとおセンチに描いた名作です。監督は確か「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキス氏。機会があったら是非ご覧頂きたい作品です。
提供は頭痛薬の「アナシン」、ケーキ地?の「ピルズベリー」、ひげ剃りの「エアロシェーブ」、靴ワックスの「グリフィン」、洗剤の「コールド・ウオーター・オール」。ストレートに商品紹介をしていたのがこの時代のCMです。それにしてもアメリカ人というのはコテコテのケーキが好きだったんだなー。肥満が増える訳だ(^^;。あと、頭痛薬のアナシン。CM見ている方が頭痛になりますよ。。。
さてさて、歴史に残る映像はまずポールから。この日は全体的にポールが大きくフィーチャーされています。というか以前から感じていたことですが、ジョンのマイクがかなりオフになっているように思えます。ジョンファンにとっては不満が残ったでしょうね。ジョージのソロもしっかり画像に収められています。「ティル・ゼア・ワズ・ユー」でのソロを見てギター弾きを決意した少年も多かった、に違いない(^^;。この日では「アイ・ソウ・ハー・スタンディング・ゼア」が初公開映像のようです。
ゲストで可笑しいのは物まねのフランク・ゴーシンさん。私はマーロン・ブランドしか分かりませんでしたが、観客の受け具合を見る限り、かなり似ているようです。この人の物まねを見ていると、今の日本の物まねスターと手法がそっくりなんですよね。40年前にして極めてハイレベルな物まねと見るべきか、40年間で余り進歩していない物まねと見るべきか(^^;。いずれにしてもこの人は凄いです。全国の物まねスターの皆さん、このDVDを見て基本を見直して下さい。 それとテシー・オシェアという大柄(別名は「2トン・テシーと言うらしい(^^;)のおばさんによるバンジョー早弾き。これも凄いです。ただバンジョーは生演奏ではないような気が。。。又ミュージカル「オリバー」の一場面も紹介されるのですが、ここには後にモンキーズを結成するデイビー・ジョーンズが参加しているそうです。多分主役を演じる少年でしょう。モンキーズのデビューは2年後の1966年、大人気のビートルズをステージ脇から見ながら、「オレも人気者になりたい」なんて思っていたんでしょうね。

16日はマイアミビーチより。提供は「リプトン」。この日はお客さんが比較的冷静です。ビートルズは初日よりリラックスして元気に演奏しています。ジョンのマイクがオンになっているおかげかな。そして一番の見物はやはりジョンの「ディス・ボーイ」です。3人並んでのコーラスと、サビでのジョンのシャウト。最後に写るうっとりした女性が印象的ですが、この人も今は60歳近くかな(^^;。そして初公開の「オール・マイ・ラヴィング」。曲紹介をするポールを指さしながらジョンが何か言っているんですが。。よく分かりません。この曲は何と言ってもジョンのサイドギターが魅力な訳ですが、始まって間もなくジョンがトーンを変えるんですね。敢えてそうしたのか。変えてなかったことに気が付いてそうしたのか。どっちなんでしょう。初日の演奏と比べれば、前半のトーンの方が正しいようにも思えますが。後半は、マイクの締まりが悪くてジョンもポールも歌いずらそうだったり、ラスト「抱きしめたい」のイントロではジョンが「ハハハ」と意味不明に笑っているなど色々気になります。
この日のゲストでは、ミュージカル調の見事な歌を聴かせてくれるミッチー・ゲイナーさん。お年はそこそこと思われますが、歌と体型が見事。バックダンサーも決まってます。この人のあと、マイクを確認するエド・サリバンが一言「共産主義者め」。そしてこの一言に受ける観客。時代を感じさせる発言ですよね。

お次は23日、こちらはピザ屋の「シェフ・ボーイ・アー・ディー・ピザ」「エアロシェーブ」「アナシン」「コールド・ウオーター・オール」「ピルズベリー」「リプトン」が提供。この日の映像は実は初日の9日に収録されたものとか。曲目の方はジョン中心のナンバーばかり、ジョンのボーカルも良く出ていますので、ジョンファンはこれで溜飲を下げたことでしょう。ただ、たった3曲なのは残念ですね。
この日のゲストのハイライトは何と言ってもキャブ・キャロウェイです。私はこの人を「ブルース・ブラザース」位でしか見たことがありませんが、この日の「セント・ジェイムズ病院」での熱演は強烈です。全身を使ってどぎつい歌を聴かせてくれます。ここまで来ると「歌」を越えて何か別のカテゴリーになってしまいますね。エド・サリバンも「コットン・クラブ」の頃が懐かしい、と言っていますが、興味が湧いてきます。

最後は1965年9月12日。ニューヨークからです。提供は「エアロワックス」「ピルズベリー」「リプトン」カーペットの「バーリントン」洗剤の「ニュー・アドバンスド・オール」ローションの「ラックス」「アナシン」。
1年以上たってビートルズも貫禄が出てきています。収録曲はバランス良くジョン3曲、ポール2曲、リンゴ1曲です。内、「涙の乗車券」「ヘルプ」を除く4曲が初登場とか。面々の曲目紹介も余裕が出てきています。というかコンサートで繰り返しているパターンなのではありますが。「アイム・ダウン」ではジョンのお馴染み、肘弾きキーボードが披露されています。そしてジョージによる初めての曲紹介後ポールの「イエスタディ」になるのですが、この曲だけはひょっとしたら口パクかも知れません。バックの演奏はレコードのものですし、ポールの歌も口とあってないような気が。。。最後の「ヘルプ」紹介ではジョンおきまりのおどけた様子が捉えられています。
この日のゲストで注目は「シラ・ブラック」です。ビートルズの妹とも言われたリバプール発のシンガーです。「リバプール出身です」と言っただけで観客は大喜び。ブリティッシュ・インベンジョンの威力の大きさを感じるシーンです。

通して見て感じるのは、ビートルズの魅力もさることながら、各コンテンツの完成度です。特にコメディ関係。今、吉本興業を中心にお笑い全盛ですが、手法の原型はこのころ既に完成していたんですね。今の芸人さん達がやっていることのほとんどはその焼き直しと言っても言い過ぎではありません。現代のバラエティーショーの種明かしを見てしまったような感があります。そう言う意味でも本作は非常に高い価値のある作品であると言えます。
THE BEATLES  『The First U.S. Visit』
エド・サリヴァン・ショー(NY-1)
1.オール・マイ・ラヴィング
2.ティル・ゼア・ウォズ・ユー
3.シー・ラヴズ・ユー
4.抱きしめたい

ワシントン・コロシアム・コンサート
5.アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア
6.彼氏になりたい
7.シー・ラヴズ・ユー
Member
エド・サリヴァン・ショー(マイアミ)
8.フロム・ミー・トゥー・ユー
9.こいつ
10.オール・マイ・ラヴィング

エド・サリヴァン・ショー(NY-2)
11.ツイスト・アンド・シャウト
12.プリーズ・プリーズ・ミー
13.抱きしめたい

14.ボーナス映像(約50分)
こちらは、1964年のビートルズ全米初上陸を伝えるドキュメンタリーです。ビデオやLDでも発売されましたが、今回は本家「アップル」からの発売、そして約50分にわたるメイキングをボーナス映像として加えての再発となります。私が最初に見たのはレンタルビデオでしたが、字幕がなくて何がなんだか分からず参った記憶があります。DVD時代に感謝しないといけませんね。
本作の魅力は、ビートルズ上陸に湧く全米の熱狂振りを余すところなく伝えているところと、ビートルズやブライアン・エプスタインなどのプライベート面を克明に記録しているところ、それとワシントン・コロシアムの映像、この3点にあります。特にファンの熱狂振りは、帰国後に発表された「ア・ハード・デイズ・ナイト」を彷彿とさせるものがあります。「事実は小説よりも奇なり」と言ったところでしょうか。
先ずは訪米直後のアメリカを伝える映像から始まります。絶えずラジオを片手に、自分たちが取り上げられるのを確認しつつ、楽しんでいるポール、この執着心がビートルズパワーの源泉と言えます(^^;。ラジオ局とビートルズの橋渡し役を務めるのがラジオ・パーソナリティで自称「5人目のビートルズ」マレー・ザ・K。エド・サリバン・ショー後のメンバーはディスコへ。ディスコではリンゴが腰を振りながらファンとダンス。どぎついファンの化粧やこの踊りなど、当時のカルチャーを伝えるという意味でも貴重な映像です。又、ホテルに侵入したはいいけど、どうしようか困っている内に見つかってしまうファン。これは映画「抱きしめたい」にも使われているネタです。一行は次のワシントンへ。ワシントンへ向かう電車の様子にも「ア・ハード・デイズ・ナイト」を思い起こさせるものがあります。そして本作のハイライトといえる「ワシントンコロシアム」コンサートへ。4人がステージをぐるぐる回りながらの有名なステージです。ここでの見物はリンゴのドラムと言い切って過言ではないと思います。特に「ビートルズ・アンソロジー」にも収録されていない「彼氏になりたい」のリンゴは強烈です。ドラムセットを揺らし、髪を振り乱しながらボーカルとドラムを務めるリンゴに他の3人のボルテージも上がり、「エド・サリバン・ショー」とは比べものにならない、熱の入った演奏です。「ビートルズ・アンソロジー」とは一部カットが異なりこちらはシンプル。次にメンバーは「エド・サリバン・ショー」が開催されるマイアミ・ビーチへ。この間に流れるインタビュアーとのやりとりでは、聞き手の嫌みに応じるリンゴが映されています。マイアミ・ビーチでのエド・サリバン・ショー後は荷物をボストンバッグに詰め込み帰国の準備へ。ギター片手に自らのツアー生活を皮肉るような即興ソングを歌うジョージ。そして一言「アメリカはこれで最後だ」。4人達自らが興奮し楽しんできた全米ツアーが終わり、どこか寂しげな雰囲気も伝えながら、最後のエド・サリバン・ショー映像、そして帰国するビートルズを迎える英国ファンのフィーバー映像で本編は終わります。
ボーナス映像はメイキング編。撮影者アルバート・メイズレスへのインタビューも交えながらファンへの声(とにかくどこへ行っても「We want beatles!」)やビートルズの様子が伝えられます。エルビスは「年寄り」と断言するファン、エド・サリバン・ショーの撮影をさせてもらえず困っているスタッフに口添えしようと協力的なポール、エド・サリバン・ショー前に風邪を引いていたせいか水を飲んでうがいをするジョージ。うがいまではいいんですが、その水をそのまま飲んじゃって(^^;。タクシーの中で、アメリカメディアに感服するブライアン・エプスタイン。冗談がきつすぎる麻薬の話をするジョン。大変貴重な映像で、もう一つの「The First U.S. Visit」と言えます。

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